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原宿カムバックの勝算
「H&M」が、2024年春に原宿の商業施設ウィズ ハラジュクに出店します。原宿エリアへの出店は、明治通り沿いにあった原宿店が22年8月に閉店して以来。ウィズ ハラジュクにはユニクロが入り、1階のスターバックス コーヒーは若い世代の客でにぎわっている光景をよく見かけます。
若者が集まるゾーンとはいえ、旧原宿店が閉店したのも理由があるはずなので、同じコンセプトの店を出店するとは思えません。5月に同じく銀座エリアに再出店した店のように、コーヒーショップやインテリアブランド「H&Mホーム」を導入して世界観を発信していくのでしょうか。同施設内にはスターバックス コーヒーとイケアが入っています。どのような新しい店になるのか、注目です。
「H&M」が来春、原宿駅前に新店オープン

「H&M」は2024年春に、JR原宿駅前の商業施設ウィズ ハラジュク(WITH HARAJUKU)の1、2階にH&M 原宿店をオープンする。売り場面積は約700平方メートル。オープン日や詳細は非公表。明治通りにあった原宿店が22年8月に閉店して以来の同エリアへの出店となる。現在同施設にはイケア原宿やユニクロ、資生堂ビューティ・スクエアが入店している。
アネタ・ポクシンスカ(Aneta Pokucinska)=H&M北東アジア社長は、「日本において東京カルチャーの代表的なエリアである原宿に新店をオープンできることをうれしく思う。ファッションやインスピレーション溢れる体験を、幅広いお客さまに届けるために、この店舗は大きな役割を担うことができると考えている。皆さまに再び原宿でお会いできることを楽しみにしている」とコメントした。
同ブランドは、全国に125店舗を展開(12月時点)。24年1月にはイオンモール土浦店にも出店予定。
■H&M 原宿店
オープン日:非公表
住所:東京都渋谷区神宮前1-14-30 ウィズ ハラジュク1、2階
「サンローラン」がパリのシャンゼリゼ通りにメゾン最大規模の旗艦店をオープン
「サンローラン(SAINT LAURENT)」は12月16日、メゾン史上最大規模の旗艦店をフランス・パリのシャンゼリゼ通り123番地にオープンした。
同店は、アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vacarello)=クリエイティブ・ディレクターによる新しいデザインコンセプトが導入され、ブルータリズムとモダニズムのコードを融合した店舗となっており、その豪華な什器や内装はファッションストアよりも未来的なホテルを彷彿とさせる。店内は4層構造で、内装は最高級の大理石や真鍮、持続可能な木材がメイン。ホワイエから2層までは吹き抜けで、入り口右手にはウェールズ人アーティスト、ケリス・ウィン・エヴァンス(Cerith Wyn Evans)によるネオンのモニュメントが設置され、左手には木造の湾曲した階段が上階へと伸びる。最上階にはVIPルームが設けられ、南国風の中庭を眺めることができるほか、アメリカ人アーティスト、ドナルド・ジャッド(Donald Judd)が手掛けた金属製の家具や、オーストリア人建築家ルドルフ・シンドラー(Rudolf Schindler)による椅子などが並ぶ。
ヴァカレロ=クリエイティブ・ディレクターは、「モダニズム建築とコンテンポラリーアートにインスパイアされ、洗練と現代性、そして時代を超越したものを意味するストアコンセプトを考案した。この店舗でメゾンの伝統を体現し、エレガントでラグジュアリーな美学を反映しながら、モダンな要素を空間に統合している」と語る。彼は2016年に現職に就任して以来、数々のストアコンセプトを考案してきた。特に、19年にオープンしたパリ・サントノーレ通りのコンセプトストア「サンローラン リヴ・ドロワ(SAINT LAURENT RIVE DROITE)」はビンテージの家具が点在し、サンジェルマン大通りの店舗はコンクリート打ち放しでダクトや配線がむき出しの生々しいデザインで、他店舗とは一線を画する。今回の新店では、この2店舗の特徴的な要素も取り入れたという。
「移動のしやすさ、商品の見やすさ、居心地の良い雰囲気は最優先事項だったが、それ同時に、いつものパリの顧客に本当に新しい体験を提供することに念頭を置いた」と、ヴァカレロ=クリエイティブ・ディレクターは説明する。
また、フランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)社長兼最高経営責任者(CEO)も、今回の店舗が地元の顧客を開拓することに重点を置き、ブランドをさらに飛躍させようという戦略の一環だと話す。「シャンゼリゼ通りに旗艦店を構えることは、どのブランドにとっても強い意思表示である。この通りは、パリに住んでいる人や観光客など、誰もが訪れる場所。だからこそ、ここに旗艦店を構えることで、真の『サンローラン』を非常に多くの人々に紹介することが可能になった。私たちの目的は、究極の体験を提供すること。洗練された空間やサービス、素晴らしい顧客体験など、この店舗はブランドが象徴するものを反映している。また、プロダクトの進化と共に、店舗も進化するのは当然のこと」。同氏によれば、今後オープンする店舗は全て、ヴァカレロ=クリエイティブ・ディレクターのデザインコンセプトを採用し、規模感や立地に合わせてアレンジしていくという。
「サンローラン」は、数年前から北米と欧州での卸売りを縮小していることから、「首都ではない都市に直営店を増やす可能性が出てきた」と、ベレッティーニ社長兼CEO。また、他のブランドに遅れをとっていたアジアや中東への出店も加速している。それでもパリの店舗を増やす理由について、ベレッティーニ社長兼CEOは、「ブランドの柱のような都市であるパリで、“陣地”を増やすことは理にかなっている。新しい店舗をオープンするたびに、新しい顧客を獲得すると同時に、各都市のさまざまな場所を探索するのが好きな既存の顧客に新しい体験を提供することができる。また、ブランドというものは、まず自国の顧客を魅了することが重要だと思う。そうすれば、顧客が外国を訪れた際、そのブランドが彼らにとってつながりを感じるものとなるからだ」と説いた。
なお、今回の新店は世界297店舗目の直営店となり、そのうち17店が今年オープン。現在、パリ・モンテーニュ通りにも新店舗を建設中で、パリ・グルネル通りの店舗は改装中だ。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。