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アルノー一族が迅速に決断できる理由

LVMHは、世界最大のコングロマリットでありながら、家族経営企業という二面性を持っています。ベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者と5人の子ども、そして、彼らを長年支えてきた側近が迅速な決断を繰り返してきたことも成長の一因でしょう。

迅速に決断できる理由については、「現場を知っているから」と評する方が多い印象です。アルノー会長兼CEOは、今も毎週「ルイ・ヴィトン」のシャンゼリゼ通りにある旗艦店を視察されると言います。毎回、ご子息も一緒だそうです。

「WWDJAPAN」編集長
村上 要
NEWS 01

LVMHを率いるアルノー会長の三男、一族の持株会社の幹部に 支配体制をさらに強化

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)を率いるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)の三男、フレデリック・アルノー(Frederic Arnault)LVMHウオッチ部門CEOは、一族の主要な持株会社フィナンシエール・アガシュ(FINANCIERE AGACHE)のマネージング・ディレクターに就任した。これは、前任のニコラ・バジル(Nicolas Bazire)取締役の任期終了に伴うものだという。フレデリックはまた、フィナンシエール・アガシュの取締役会に、その親会社であるアガシュの代表として加わった。

フレデリックは2024年4月、アルノー会長兼CEOの次男であるアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)=ティファニー プロダクトおよびコミュニケーション部門 エグゼクティブ・バイス・プレジデントと共に、LVMHの取締役会に加わった。長女のデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEOと、長男のアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMHヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージは、以前から取締役会に所属している。また、四男で末っ子のジャン・アルノー(Jean Arnault)=ルイ・ヴィトン ウォッチ部門 マーケティングおよびプロダクト・ディベロップメント・ディレクターも、いずれは取締役会に加わると見込まれている。

LVMHは近年、一族支配を強化している。22年5月には、当時73歳だったアルノーLVMH会長兼CEOが80歳まで続投できるよう、CEO職は75歳までと定められていた内規を変更。22年12月には、アントワンが一族の持株会社クリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)のCEO兼副会長に就任した。クリスチャン ディオールSEは、フィナンシエール・アガシュの傘下。フィナンシエール・アガシュは22年12月の時点でクリスチャン ディオールSEの株式資本の97.5%を保有している。これらを通じ、アルノー家は23年12月の時点で、LVMHの株式資本の48.6%と議決権の64.3%を保有している。

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NEWS 02

「シンゾーン」が個人情報漏えいのおそれ 最大4万2000人分の個人情報が最長で9カ月間外部アクセス可能な状態に

シンゾーン(SHINZONE)」は、個人情報漏えいのおそれがあるとしてその事実を発表した。同社が5月22日付けで掲載したリリースによると、社内用ポータルサイトが、クラウド環境の誤設定により公開状態になっていたため、ポータルサイト上で管理している顧客情報や同社の従業員情報が外部からアクセス可能な状態になっていたという。

外部からアクセス可能となっていた情報は、顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、性別、購入履歴、問い合わせ内容、職業、婚姻歴。対象となる人数は最大で4万2400人。また、同社の従業員の氏名と顔写真も外部からアクセス可能となっていた。人数は最大で75人に上る。

外部からアクセス可能だった期間は最長で2023年8月2日から24年5月15日までの約9か月間にわたる。この状態が発覚したのは5月15日で、社外の取引先からの指摘で発覚した。現在はポータルサイトの非公開設定を行うとともに、ポータルサイトに紐づく関連システムのパスワードを変更する措置を実施したという。不正アクセスが原因ではなく、現時点では外部からアクセスされた形跡は見つかっていないという。また個人情報保護委員会への報告は済ませている。

「シンゾーン」の広報担当者は、「現在、全社を挙げて原因究明に努めるとともに、個人情報を取り扱う上での管理体制の一層の強化を含む再発防止策について真摯に検討を重ねている」とし、「お客さまに安心してご利用いただけるよう、速やかに適切な対策を講じていく」とコメントしている。

個人情報保護法に詳しい日置巴美弁護士は、「これを機に改めて法令順守や再発防止策をしっかり検討していく必要があるだろう。また、職業や婚姻歴など、必ずしも必要とはいえない情報は、可能な限り取得しないことで自衛できることもある」と指摘する。また、「現時点の公表内容では対象となった顧客や従業員の不安は払しょくできないだろう。今回のインシデントが発生した理由や、どんな範囲・状況で、どの態様で情報が公開されていたのかといった詳細が分かり次第明らかにして、対象者がリスクを判断できるようにするなど、対象者のケアを行うことが重要なのでは。また、強固なセキュリティを有するシステムであっても、人為的なミスでインシデントが発生することもある。ワークフローの見直しや、担当者の継続的な教育も重要だ」とコメントする。

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。