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偏愛記事の価値を推したい

マッシュスタイルラボが11月30日に開く米国の教育番組「セサミストリート」の公式ストアを、32歳の自称“セサミ育ち”の記者がリポートした記事が面白いです。自分自身も“セサミ育ち”だと思っていたら、途中から初めて知った事実や、ちょっとよく分からない深淵の世界になっていき、ついつい気になって読んでしまいました。

スピードを重視するなら、プレスリリースと公式写真だけでも記事化はできるでしょう。最近はファッション媒体でも、他メディアが報じたニュースを独自に事実確認をした形跡がなく、ほぼ横流しで記事化している動きが散見されます。でも、溢れる偏愛からかける一手間こそ編集記者が存在する価値であり、人が作るメディアの面白さだと個人的には思っています。ちょっと“セサミ育ち”もう一回読んできます。

大塚 千践
NEWS 01

「セサミストリート」公式ストア1号店を“セサミ育ち”の記者がリポート!

マッシュスタイルラボは11月30日、米国の教育番組「セサミストリート」の世界で唯一のオフィシャルストア「セサミストリートマーケット」の1号店を池袋のサンシャインシティにオープンする。同番組を制作する米国の非営利団体セサミワークショップとのパートナーシップのもとで運営する。

28日、オープンに先駆けて報道陣向けの内覧会が開かれた。330平方メートルの店内は、物販、カフェ、ワークショップの3コーナーで構成。30代以上であれば、朝はNHKの「セサミ」を見て育ったという人も多いはず。32歳で事実“セサミ育ち”の記者を含め、そんな人たちにはきっとたまらない「セサミ」の世界観が詰まった店内をレポートする。

ぬいぐるみはさすがの再現度
注目はキャラモチーフのセーター

店の右半分は物販エリア。米ニューヨークに実在するセサミストリートの街並みをイメージした内装に、「エルモ」「クッキーモンスター」「ビッグバード」といったおなじみのキャラクターのアパレル、雑貨など約200点が並ぶ。「ジェラート ピケ」でぬいぐるみを作っているマッシュだから、ぬいぐるみはまるで動き出しそうな再現度とクオリティー。小学生のころの朝、寝ぼけ眼で朝食を食べながら番組を見ていた、あの日の記憶が蘇ってくる。

マッシュのお家芸であるアパレルも推したい。記者が特に気に入ったのはキャラクターモチーフのジャカードセーター(7400円)。ミドルゲージの適度に目の詰まったニットが上品で、味わいのあるキャラクター柄が抜け感を出している。左袖の2本のラインもおしゃれなアクセント。本人に直接聞いたわけではないが、近藤広幸社長もお気に入りらしい。オープンの目玉になりそうなのは「ジェラート ピケ」とのコラボ商品。ビジュアルは渡辺直美をニューヨークで撮り下ろした。

ドーナツは本格派の味わい
「3強」よりもニッチキャラを食せ!?

店内を歩いていると、何やらいい匂いが漂ってきた。中央のカウンターには、名物のドーナツが並んでいる。キャラクターをモチーフにした全5種(各520円)を試食した。赤い“エルモ”はラズベリー味、黄色の“ビッグバード”はパッションフルーツ&マンゴー味、青い“クッキーモンスター”は、なぜかプレーンなシュガー味だ。

この「3強」に比べると影に隠れた存在だが、 “オスカー”と “アビー”のドーナツもある。“アビー”は「妖精の国出身の自信家でクリエイティブな女の子」(公式ホームページより)といい、正直幼いころの記憶にない。オスカーにいたっては、ゴミバケツから顔を出してこっちを見ている謎キャラ(失礼)である。でも“アビー”は2種のチョコが奥深い味わいで、“オスカー”は抹茶味がほろ苦くてクセになる。正直、この2つが一番おいしかった。

ドーナツ自体は超スイートだが、甘酸っぱかったり、ほろ苦かったりするトッピングのおかげで、最後まで飽きずに食べられる。ボリュームもたっぷりで、女性なら1個でお腹いっぱいになる人もいそう。鮮やかな色出しは、人工着色料によるものではなくフルーツ由来といい、子どもに食べさせるのにも安心だ。

話題性は未知数も
「学びのある場を育てる」

「セサミストリートマーケット」が1号店を出したサンシャインシティは、超高層ビル「サンシャイン60」を核とした複合施設。値ごろなアパレルやホビーショップがそろう専門店街、ホテルや水族館などのテーマパークまで備えた、池袋の象徴だ。ターミナル駅のJR池袋駅からは徒歩約10分とやや距離があるが、休日はベビーカーを引いた客やカップルでにぎわう。「セサミ」の1号店の出店地に選んだのは、こうした家族連れや若年層を取り込む狙いがある。

では実際、「セサミ」への関心度はどうか。番組がNHKで放送していたのが、5年間の休止を挟んで1972年から2003年まで。放送が終了して20年が経過した今、10〜20代の若者や子どもたちからの認知度は、そこまで高くないだろう。「ジェラート ピケ」と「ポケモンスリープ」のコラボのような、SNSでの爆発的な話題性やヒットが生み出せるかは未知数だ。

ただマッシュの視座は単なる“キャラクターショップ”を作るにとどまらない。ワークショップエリアでは来年から順次、「子どもだけでなく、老若男女が楽しめて新しい学びや発見があるイベント」(巻島彬子プロデューサー)の実施を計画する。「セサミ」には、さまざまな人種や病気を抱えている設定のキャラがいて、多様な個性を尊重し共生するという考えが根底にある。巻島プロデューサーは「楽しんで終わりではなく、『セサミ』の核となる多様性やインクルージョンといった考え方を伝える場をじっくり作っていきたい」と話す。

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NEWS 02

メルカリが懐かしいものを集めた「ウチの実家」 レトロゲームやY2K文化、“両親”との会話を楽しめる

メルカリは、11月29日から12月3日の期間、原宿のUNKNOWN HARAJUKUで没入型施設「ウチの実家」を開催している。入場は無料。同施設ではメルカリにも出品されている、実家にありそうな懐かしいもの500点以上を集めており、帰省したような気分を味わえる。また、 “お父さん”や“お母さん”と会話や記念撮影も楽しめる。

イベントを通してメルカリは、年末年始の大掃除などで不用品が多く出る時期に向けて、実家に眠っている不用品の価値を可視化し、それに気づくきっかけを提供することを目指す。

家族は父母兄妹の4人家族で、兄は1983年生まれの40歳、妹は1989年生まれの34歳という設定だ。1階には床の間と居間と台所が、2階には兄妹の部屋があり、独り立ちした日からそのままの状態で残っているような空間を表現している。家の中には昭和のムードを感じる家具や緑電話、フラワーロックのほか、家庭用ゲーム機など、懐かしいものが点在している。

兄妹の部屋

2階の兄妹の部屋では、平成を駆け抜けた若者たちの、当時のリアルなトレンドを垣間見ることができる。兄は、スポーツをやっていてサブカルチャーへの憧れもある男の子、妹は華やかでトレンドにも敏感な女の子だったようだ。

床の間

床の間には“お父さん”がおり、漫画や雑誌が並んでいる。お父さんは「元気だったか?お前はなかなか帰ってこないから…。お父さんだって、いつまで元気か分からないぞ」と話しかけてくれた。机の上のお菓子やみかんも無料で食べることができる。

居間

家族で過ごす居間は、昭和の家庭的なアイテムと平成のエンタメが混じり合う空間だ。スーパーファミコンやたまごっちがあり、自由にプレイすることができる。DVDやビデオテープに注目すると、懐かしいタイトルが目白押しだ。

台所

昭和レトロな鍋や食器が並ぶ台所には、優しい“お母さん”がいる。来場して写真や動画をInstagramでシェアし、その画面をお母さんに見せると、ドリンクをもらうことができる。また、お母さんは会話の中で、兄弟の部屋を探索するのに役立つアドバイスを与えてくれる。

メルカリの調査によると、日本の家庭に眠る“かくれ資産”は国民1人あたり平均約53万円で、大掃除に捨てられる可能性のある不要品は国民1人あたり約8.5万円。そこで、“実家”という身近な空間を楽しみながら、かくれ資産の価値に気づきを与える今回の企画に至った。平成レトロの提唱者、山下メロがアドバイザーとして参加している

■ウチの実家
日程:11月29日〜12月3日
時間:11:00〜19:00(29日のみ14:00〜)
場所:UNKNOWN HARAJUKU
住所:東京都渋谷区神宮前 6-5-3

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最新号の読みどころ

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。