歌舞伎役者の中村獅童は、5月に寺田倉庫と新宿歌舞伎町のライブハウスで上演したオフシアター歌舞伎「女殺油地獄」を成功させ、アーティストの清川あさみは新作「Mythology」を含む個展「Incarnation」を上海で開催して、ともに話題満載だ。今回は常にその動向に注目が集まる2人が、「ピアジェ(PIAGET)」のジュエリーとウオッチを身につけて対談。絶えず輝き続ける2人からは、さまざまな出会いを創作の糧とし、物事の本質を追求する姿勢が見えてくる。

前例のない挑戦が
作品づくりの源

清川あさみ(以下、清川): 獅童さんとの最初の出会いは、私の作品「男糸」ですよね。まさに唯一無二の存在です。

中村獅童(以下、獅童) : 清川さんのことはそれ以前から存じ上げていたので、できあがりも楽しみでしたしうれしかったです。最近はますます輝いていますよね。お子さまも生まれて、さらにきれいになっている。

清川 : そんなことを言ってくださる獅童さんは女性の味方です!獅童さんは歌舞伎役者として古典的な面も持ちあわせながら新しいことに挑戦し続けていますが、モノ作りのこだわりはなんですか?

獅童 : “伝統と革新”です。400年以上続く歌舞伎の伝統を守りつつ、“獅童らしい”革新を追求すること。自分らしく生きるとはどういうことかをいつも自問自答していますし、そうしないと道は開かれないです。父親が歌舞伎役者ではないので、世襲制である歌舞伎の世界において人と同じことをしても、一歩抜きん出ることはできないんです。

清川 : 私も常に新しい生き方を考えています。モデルとしてキャリアをスタートしましたが、もともと持っていた自分の多面的な部分をどう生かすかを考えたときに、自分が前に出るのではなく作品を通してより広い世界観を作る方が向いていると思ったんです。そうしないと頭の中の面白いと思う世界を表現できなくて。それに普通に生活していても世の中の不思議な部分やゆがみが見えてきて、そのモヤモヤをどうやったら人に伝えられるだろうと考えました。ただ、アーティストになってから知ってくださった皆さんは、モデル時代の私と今の私がつながらなかったみたいです。

獅童 : でも、モヤモヤがないと良い作品は作れないですよね。すべてが満たされちゃうと意味もないし、作品を作るってことは世の中に対してどこかアナーキーな気持ちがある。満たされないからこそ自分は芝居を演じるし、清川さんはアートを作るんでしょうね。表現者って、ジャンルは違えど根っこは一緒。じゃないとつまらないです。

清川 : 私も人が敷いたレールの上を歩くことだけが正解だとは思わないし、誰かがやらないと何も始まらない。

獅童 : そうですよね。僕は自分で自分の名前を大きくしなきゃいけないし、役者として最初は群衆の一人としての役しかつかなかったので、空いた時間にとにかくオーディションを受けましたよ。たまたま受かったのが映画の「ピンポン」。あれが世の中に出させてもらったきっかけです。

清川 : そういう話最高です!

獅童 : 最近上演した「女殺油地獄」だって、歌舞伎を倉庫やライブハウスみたいな場所で演じることに賛同する人もいれば、「あいつは何をやっているんだ」とネガティブなことを言う人もいたかもしれない。でも、それは気にしません。前例のないことをやることに意味があって、勇気が必要だけど、演じていてすごく楽しいし、批判をする人たちには「すごい」と言わせればいい。結局は自分にかかってるんですよね。

清川 : 前例のないことに挑戦するのは楽しいです。

獅童 : でも、モヤモヤがないと良い作品は作れないですよね。すべてが満たされちゃうと意味もないし、作品を作るってことは世の中に対してどこかアナーキーな気持ちがある。満たされないからこそ自分は芝居を演じるし、清川さんはアートを作るんでしょうね。表現者って、ジャンルは違えど根っこは一緒。じゃないとつまらないです。

清川 : 私も人が敷いたレールの上を歩くことだけが正解だとは思わないし、誰かがやらないと何も始まらない。

獅童 : そうですよね。僕は自分で自分の名前を大きくしなきゃいけないし、役者として最初は群衆の一人としての役しかつかなかったので、空いた時間にとにかくオーディションを受けましたよ。たまたま受かったのが映画の「ピンポン」。あれが世の中に出させてもらったきっかけです。

清川 : そういう話最高です!

獅童 : 最近上演した「女殺油地獄」だって、歌舞伎を倉庫やライブハウスみたいな場所で演じることに賛同する人もいれば、「あいつは何をやっているんだ」とネガティブなことを言う人もいたかもしれない。でも、それは気にしません。前例のないことをやることに意味があって、勇気が必要だけど、演じていてすごく楽しいし、批判をする人たちには「すごい」と言わせればいい。結局は自分にかかってるんですよね。

清川 : 前例のないことに挑戦するのは楽しいです。

人間の本質を追求する
2人の活躍

獅童 : ロックのライブもそうだし、絵や写真を見ても、演劇を観に行ってもいつも歌舞伎に結びつけているかもしれないですね。周りの環境や人から影響を受けることはあります。それに出会いってすごく大きい。出会いが全てだし、その一つ一つが新しい作品を生み出すきっかけなのだと思います。

清川 : 私はアーティストとしていろんな仕事を通じて、出会いの運がすごくありました。情報化社会で全てをゼロから何かを作るのは難しくて、それよりも出会ってきた人やものを編集して再構築することも重要。そこで人間に興味があって深い部分を表現したくて、いろんな人の本質をアート作品として発表しました。

獅童 : なるほど。

清川 : 私の作品「美女採集」では女性の本質を動植物に変えたり、男性なら歴史上の人物に例えたりしています。あとは昔からある世界の名作や古典を新たに再構築して現代によみがえらせたりとか。獅童さんは常に進んだことをされている人だし、これからも新しい舞台やエンタメの世界をつくっていくんでしょうね。「女殺油地獄」も観ましたが、どうしてこの演目を選ばれたんですか?

獅童 : 今も昔も変わらない人間の本質だからです。今日起きてもおかしくない事件ですし。いつの間にかタイムスリップしてその現場を目撃するような形にしたくて、歌舞伎におけるリアルとはどういうことかを演出家と相談しました。例えば自分が演じた放蕩息子の与兵衛の両親は他人に頭を下げてでもお金を工面してくれる。歌舞伎座で演じていたら涙を誘う場面ですが、そうではなくどこか冷めた目線にしたくて。現代に置き換えるとこの親子関係には賛否両論があるでしょう。いろんな見方ができるようにしたかったんです。

清川 : 獅童さんのその視点はとてもおもしろいです。

獅童 : 淡々とやることも挑戦なんですよ。本来「女殺油地獄」のクライマックスは出演者が油に見立てたふのりにまみれて人を殺して、その様が美しく「待ってました!」って観客は拍手をするんです。ただ、これは300年前の実話をもとにした話。最近起きた事件を芝居にしても拍手は起きないですよね。時が経つことで芸術となり型となり、拍手が起きることが歌舞伎のよさでもあるけれど、無機質な空間で演じるにあたり、お客さまを喜ばすための過度な演出は排除したんです。

清川 : おもしろすぎますね!今日はそこを一番聞きたかったんです。私はモノを作ることに理由やメッセージが欲しくて、ただかっこいいからではなく何を伝えたいかに興味があるんです。今上海で発表している作品は、人間の欲望って何だろうと考えた時、ルールがない世界をつくりたくて、神話に行きついたんです。人はルールがあるから理性やコンプレックスが生まれたりする。今は人間が生まれる前にすごく注目しています。それに生きていたらいろんなテーマが見つかりますよね。ファッションもこれって決めることはなくて、いろいろな洋服を着ることが多いんです。でもサイズにはこだわっていて、ミリ単位で調整します。

獅童 : 僕もデザインは悩まないですけどサイズは考えています。ライダースもデザインによってジャストサイズにするか大きめなのか、3サイズくらい着ますね。

清川 : 今日身に着けた「ピアジェ」のジュエリーは芯のある人が似合うと思います。デザインもシンプルだけどとても華やか、きっちり主張しています。

獅童 : このウオッチもすごくエレガントですね。“エレガント”という文化はもともと西洋のもので日本には存在しなかった。例えば夫婦でドレスアップして夜にオペラを観に行く習慣は“エレガント”。でも、“エレガント”の代わりに日本人にとって最高の誉め言葉があります。“粋”です。「ピアジェ」のウオッチも「粋だね」って言われるような芯がある人じゃないと似合わないと思うし、僕も粋な男と言われるようになりたいですね。

獅童 : 淡々とやることも挑戦なんですよ。本来「女殺油地獄」のクライマックスは出演者が油に見立てたふのりにまみれて人を殺して、その様が美しく「待ってました!」って観客は拍手をするんです。ただ、これは300年前の実話をもとにした話。最近起きた事件を芝居にしても拍手は起きないですよね。時が経つことで芸術となり型となり、拍手が起きることが歌舞伎のよさでもあるけれど、無機質な空間で演じるにあたり、お客さまを喜ばすための過度な演出は排除したんです。

清川 : おもしろすぎますね!今日はそこを一番聞きたかったんです。私はモノを作ることに理由やメッセージが欲しくて、ただかっこいいからではなく何を伝えたいかに興味があるんです。今上海で発表している作品は、人間の欲望って何だろうと考えた時、ルールがない世界をつくりたくて、神話に行きついたんです。人はルールがあるから理性やコンプレックスが生まれたりする。今は人間が生まれる前にすごく注目しています。それに生きていたらいろんなテーマが見つかりますよね。ファッションもこれって決めることはなくて、いろいろな洋服を着ることが多いんです。でもサイズにはこだわっていて、ミリ単位で調整します。

獅童 : 僕もデザインは悩まないですけどサイズは考えています。ライダースもデザインによってジャストサイズにするか大きめなのか、3サイズくらい着ますね。

清川 : 今日身に着けた「ピアジェ」のジュエリーは芯のある人が似合うと思います。デザインもシンプルだけどとても華やか、きっちり主張しています。

獅童 : このウオッチもすごくエレガントですね。“エレガント”という文化はもともと西洋のもので日本には存在しなかった。例えば夫婦でドレスアップして夜にオペラを観に行く習慣は“エレガント”。でも、“エレガント”の代わりに日本人にとって最高の誉め言葉があります。“粋”です。「ピアジェ」のウオッチも「粋だね」って言われるような芯がある人じゃないと似合わないと思うし、僕も粋な男と言われるようになりたいですね。

PROFILE

中村獅童:1972年東京都生まれ。歌舞伎俳優という肩書きを持ちながらも、現代劇や映画、TVドラマなど多方面で活躍する。その多方面での活躍を生かし、歌舞伎座から離れて寺田倉庫と新宿FACEで5月に上演した“オフシアター歌舞伎”「女殺油地獄」では、主役・河内屋与兵衛を演じた。現在NHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」にも出演している。

清川あさみ:1979年兵庫県生まれ。90年代にモデルとしてキャリアをスタートし、2001年にはアーティストとして初めて個展を開催。03年から写真に刺しゅうを施す作品の制作を開始する。代表作に「美女採集」「Complex」シリーズなどがある。7月14日まで中国のARARIO GALLERY Shanghaiで個展「Incarnation」を開催しており、神話をモチーフにした新作「Mythology」などを展示している。

Place

表現者の自由なアイデアを形にする
イベントスペース

東京・天王洲にある寺田倉庫のG1-5Fでは、高さと奥行きを活用して展覧会やファッションショーなどさまざまなイベントが行なわれている。コンクリートに囲まれた無機質な空間は、イベントごとに自在に姿を変える。8月8日〜2020年1月13日には、映画「スター・ウォーズ」シリーズの世界観を体感できる巡回展「STAR WARS Identities: The Exhibition」を開催。

住所 : 東京都品川区東品川2-6-4

History of PIAGET

History of PIAGET

スイスのジュラ山脈の村、ラ・コート・オフェで時計ムーブメントのマニュファクチュールとして1874年に創業した「ピアジェ」。1920年代より高品質の極薄ムーブメントの製造をスタートし、57年に当時世界最薄となる厚さわずか2mmの手巻機械式ムーブメント「9P」を発表し、時計業界にセンセーションを巻き起こした。続く60年には世界最薄自動巻きムーブメント「12P」を発表、極薄ムーブメントのマニュファクチュールとしてその地位を不動のものにした。「常に必要以上に良いものをつくる」というモットーを掲げるメゾンはまた、ゴールドとプラチナをメインとするプレシャスメタルへのこだわりも強く、上質で洗練されたジュエリー製作でも高い評価を得ている。最高を生み出すアトリエで生まれた極薄ムーブメントとエレガンスを讃えるゴールド、ふたつのクラフツマンシップの象徴が「ピアジェ」の作品には凝縮されている。

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