ミレニアル世代の視点から読み解くファッション&ビューティのトピックス
化粧品、最後まで使い切っていますか?
 みなさんはじめまして、「WWDビューティ」編集部の北坂映梨と申します。今回、新しくエディターズレター「#MILLENIALMIND(#ミレニアルマインド)」を始めることになりました。1992年生まれの現在27歳、ミレニアル世代後半の記者が日頃気になっているトピックスをお届けします。普段はビューティ編集部にいますが、「WWDジャパン」に携わることもあるので、ファッションとビューティ双方のニュースについてレターを書きたいと思っています。他のレターは編集長やデスクレベルの先輩記者が執筆している中、私が書いていいの!?(そもそも、私よりも若い記者はたくさんいる)と思いつつも、日頃からニュースについて思うことは結構あって、吐き出し先が増えたのは実はうれしかったりします。とはいえミレニアル世代は結構幅広いので(81年〜96年生まれ)、レターの内容はミレニアルズ代表!というよりは、一意見として温かく見守っていただければ幸いです。
 
 さて、記念すべき1回目のテーマは、最近ますます自分の中でふくらむジレンマの一つでもある、化粧品とサステナビリティ。ビューティ記者として毎日のように新しいコスメを手にし、試し、それをニュースとして書いていますし、編集部には大量の化粧品が届きます。もともと化粧品マニアでもあるので、発表会などでいただいたもの以外に、自分でもたくさん買ってしまいます。そうなると、どうしても消費期限内に全てを使い切ることができず、古くなったものは仕方なく処分せざるを得ないことに……。そのたびに罪悪感に苛まれます。
 
 中でも厄介なのがメイク。スキンケアは朝晩毎日使うので使い切りやすいですが、メイクはシーズンごとにカラーが増えていくと、本当に使いきれない。そんな中、SNSでハッシュタグ「#shopmystash」を見つけました。新色や新製品が出るとつい買ってしまいたくなりますが、まずは自分の手持ちのコスメの“在庫”から“ショッピング”しよう=手持ちのコスメを使い切ってから新製品を買おう、という意味です。使い切った空の容器もしくは使い途中のコスメの写真とともに、このハッシュタグをつけている投稿が増えています。結構若い子が上げていて、こういう動き、今後も増えそうだなと思いました。
 
 でもメーカーからすると、シーズンごとに新製品を発売しないとビジネスは成り立たない、というのも理解できます。こんなジレンマを抱えながら取材をしていたら、先日「スティモン」という韓国コスメの発表会でちょっとしたヒントを得ました。内容量は3mL、約1週間で使い切れるようになっているパウチコスメで、値段も一律550円。安いし、44色とカラーバリエーションも豊富だし、Kビューティブームがまだ続いているので若年層でヒットしそうです。ただパウチが全てプラスチック製なので「うーん、結構プラゴミ出るなぁ」と思ったのですが、中途半端にたくさん買って使いきれずに捨てるくらいだったらこれもアリかなと、考えが少し変わりました。30会議」の声を、もっと拾って、実現しなくちゃ!
 
 最近ミニサイズのコスメが人気で(「M・A・C」がセミセルフ限定で「ミニM・A・C」を販売したり、今年のコフレもミニサイズのリップが目立ちました)、インスタ映えしたり、定価よりも手頃な値段で買えたり、複数色をそろえやすかったりするだけでなく、こういった“使い切れるサイズ”はサステイナブルという意味でも期待できるのではないでしょうか。ただ、内容量の割にプラスチックの量が多くなってしまう、原価率が高くなってしまうという問題もあるので、そこを今後どうクリアするのかが課題だと思います。今度、ミニサイズコスメについても記事にしようと思っていますので、ご期待ください。
 
 いずれにせよ、サステイナブルな市場を実現するには無駄なパッケージをなくす、レフィル対応にするといったメーカー側の努力はもちろん、“使い切る”という消費者側のマインドも必要だと痛感する最近です。
 
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北坂 映梨
「WWDJAPAN」副編集長
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