ハイセンスなファッション、ビューティ、ウェルネス、ライフスタイル情報をインターナショナルな視点で紹介するパリ発のデジタルマガジン「ファー・アンド・ワイド・パリ(Far & Wide Paris)」の編集長ジョアナ。2人の子どもを育てながら、フランスの南西部、ビアリッツとパリを行き来する生活から見えてくるリュクスな日常について、パリで話題のライダースジャケット専門店「アリス・バラス(Alice Balas)」で聞いた。
Joana Althabégoïty(ジョアナ・アルタベゴイティ)は、ソルボンヌ大学で文学を学んだ後、パリを拠点にファッション、デザイン、フィルム、広告、グラフィック、写真など多彩な分野で活躍するクリエイティブ集団「サーフィス・トゥ・エアー(SURFACE TO AIR)」の設立に参加。その後、彼らがプロデュースするコンセプトストアの店長として、PRからイベント企画まで幅広く手掛けた後、カジュアルブランド「スープラ(SUPRA)」のマーケティングコーディネーターを務め、出産を機にフリーランスへと転身した。
「『サーフィス・トゥ・エアー』での経験が今の私のベースになっています。ミュージックビデオから、香水ボトルのデザイン、メゾンブランドのプロジェクト、そしてコマーシャルまで、ファッション界の中でも先鋭的でクリエイティブな環境に7年間身を置いていました。『サーフィス・トゥ・エアー』としてショップをオープンしてからは、服の買い付けを手掛ける他、Tシャツやカメラなどの雑貨を販売しながら、徐々にオリジナル商品を発表するようになりました。人気が高まり、ニューヨーク店の立ち上げにも参加し、世界中の感度の高い人たちと交流を持てたことはとても刺激的でした。
2015年に創刊したデジタルマガジン『ファー・アンド・ワイド・パリ(Far & Wide Paris)』は、当時の経験からクリエイティブでクールな人々とのネットワークを広げ、彼らが薦めるホットスポットやレストラン、ブランドなどを、パリだけでなくニューヨーク、東京、サンパウロなどさまざまな都市から紹介する画期的なマガジンです。自分で企画し、会いたい人に取材をして編集し、最後はフォトショップで写真の加工までします。1人で何役もこなすことが多いですが、フリーランスという立場で、自分で締め切りを決めてしっかりオーガナイズするという仕事の進め方が性に合っていると思っています。会社に勤めていた頃に比べて、自分で自由に時間を決められるって、本当の意味でリュクスなことじゃないかしら」
「ファー・アンド・ワイド・パリ」の取材を通して出会った「アリス・バラス(Alice Balas)」のデザイナー、アリスは、ジョアナが長年暮らす同じ北マレ地区の住人だ。コンセプトストアやビーガンレストランなどが続々とオープンしている、ファッションだけでなくライフスタイルの発信基地として話題のエリアに、アリスの店はある。
「彼女がつくるライダースジャケットに一目ぼれしたのが、アリスとの出会いのきっかけでした。アリスはトレンドの一部としてロックやライダーズスタイルを提案するのではなく、誰もが1着は持っているトレンチコートのように、定番アイテムとしてライダースジャケットをつくっているのが、とてもいいなと思ったんです。上質なラムレザーはまるで第二の肌のようで、全てパリの工房でセミオーダーでつくられます。さらに裏地部分には名前とラッキー番号を刺しゅうしてくれるんですよ。とってもリュクスでしょう!もちろん私もアリスのライダーズを何着か持っています。
パリにはアリスのような陽気で楽しい友人が多く、特にこの北マレはまるでヴィラージュ(村)のようで、歩くだけで何人もの知り合いとすれ違う、私にとって特別な地区なんです。カフェでちょっとおしゃべりしていると、友達の友達が集まってきて、いつのまにか大勢で飲んでいるなんてこともよくあるんですよ。
パリは人との出会いが多く、インターナショナルな仕事ができて面白いのですが、実は昨年、家族で故郷のビアリッツに移り住みました。南西部バスク地方の町ビアリッツは、リゾート地としても知られる海沿いの町。パリと海沿いのビアリッツを行き来するという、長年私の理想だった生活を手に入れたのです!パリでアパルトマンを所有しているので定期的に戻ってきますが、今年2人目の子どもを出産して、今は子育てのことを考えてビアリッツで過ごす時間を増やしています。パリでは子どもを遊ばせるために公園に連れて行かなくてはならないけれど、ビアリッツでは学校帰りに海で泳がせて、広い庭で遊ばせていればいいというとてもシンプルな生活。子どもにとっても親にとっても理想的でしょ?パリでたくさんの人から刺激を受けて、ビアリッツで大自然に癒やされ家族の時間を大切にする――今は人生のバランスがうまくとれている気がします」
フランスでは子どもの誕生のお祝いに銀食器や銀のジュエリーを贈る習慣がある。子どもの頃からジュエリーは身近な存在であり、審美眼も養われるのだ。
「生まれた時に両親から贈られた小さなシルバーのリングを今でもお財布に入れて大切に持ち歩いています。もちろん私の娘が生まれた時にも、シルバーのピアスを贈りました。フランス人とジュエリーとは切っても切れない縁ですが、私にとって何よりも忘れられないのは、結婚指輪です。ロンドン旅行でとても素敵なデザインを見つけて、パリに戻ってから自分の好きなイメージを加えてデザイン画を描きました。そして夫がダイヤモンドを購入して、工房でオーダーメイドで仕上げてもらったんです!自分だけのオリジナルジュエリーは何年経っても飽きることがありません。
今日、着けているジュエリーは『ブシュロン』のものですが、長年ファッション界にいる人間として、『ブシュロン』は憧れのブランドです。サヴォワールフェール(受け継がれてきた芸術性の高い職人技)がありながら、モダンで現代的。お気に入りの “キャトル”のリングは、ロックテイストですが繊細かつエレガントで、一目見ただけで『ブシュロン』と分かるデザインはまさに時代を超越した美しさを秘めています。本物のジュエリーは身を飾るだけではなく、心を豊かにしてくれる存在ですね。子育てに、仕事にいそがしい日々ですが、心の余裕を与えてくれるジュエリーは、フランス女性をいつまでも輝かせるためになくてはならない存在なのです」
フォトエージェント、雑誌、クリエイティブエージェンシーなどでキャリアを積んだアリスが2016年、北マレ地区でスタートしたセミオーダーメードのライダースジャケット店。自身の工房でレザー職人を抱え、全てフランス製にこだわるジャケットは“まるで第二の肌”と評判が高く、ケイト・モス(Kate Moss)やルー・ドワイヨン(Lou Doillon)などが愛用することでも知られる。通常のラインは約1990ユーロ、トランプ等の刺しゅう付きは2600ユーロからで、数週間で完成する。自分にぴったりの1着をつくりに、世界中から顧客が集まる
Alice Balas
6 Rue Dupuis, 75003 Paris France
ブシュロンを代表する“キャトル”は、フランス語で“4”を表す言葉。4層からなる、スタイリッシュでモダンなコレクションだ。メゾンのルーツであるオートクチュールの美しさを受け継ぐ彫刻で、クチュールドレスに施されたデザインに由来する「グログラン」、“キャトル”のために生まれたミラーセッティングという技法でさらにきらめきを強めた「ダイヤモンド」、ヴァンドーム広場の石畳を表現した「クル ド パリ」、そして「ブシュロン」で最も歴史あるモチーフとされる縞模様の「ゴドロン」――“キャトル”には、メゾンの160年にも及ぶ歴史とサヴォワールフェール(芸術性の高い職人技)が凝縮されているのだ
Joana Althabégoïty(ジョアナ・アルタベゴイティ):「ファー・アンド・ワイド・パリ」編集長、フリーランス・キュレーター&エディター。2015年、デジタルマガジン「ファー・アンド・ワイド・パリ」を友人と立ち上げ、編集長を務める他、イベントキュレーターやコレクションの情報発信など幅広く活動
photographs : Yusuke Kinaka
text & coordination : Keiko Suyama
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