「WWDビューティ」では創刊10周年を記念し、初のフォトコンテストとなる「WWDビューティ ヘアデザイナーズ コンテスト」を開催しました。2018年1月8日までの期間で、「2017〜2018年のコレクショントレンド(NY、パリ、ミラノ、ロンドン)におけるファッションやビューティのトレンドを意識した作品」というテーマで全国の美容師からモデルを使ったヘアデザイン作品を募集し、グランプリを決定するというコンテストです。

コンセプトは「ビューティ×ファッション」

「WWDビューティ ヘアデザイナーズ コンテスト」のコンセプトは、「ビューティ×ファッション」。「WWDジャパン」や「WWDビューティ」「WWD JAPAN.com」のミッションの1つである、「ファッション業界とビューティ業界の垣根を取り払う」ことを目的とした取り組みでもあります。そのため、審査員にファッションデザイナーやセレクトショップのバイヤーなどを迎え、両業界を“クロス”させることを試みました。

+

グランプリ受賞特典

グランプリ受賞者(1名)には、賞品(宿泊券)が授与された他、「WWDビューティ」プロデュースのもと、「WWDビューティ」2018年2月22日号のモデルシューティングのヘア&メイクを担当してもらいました。また準グランプリ受賞者(2名)にも、同号の中面を飾る作品を作ってもらいました。

Photographer:MASAYUKI ICHINOSE(W)
Stylist:MICHIE SUZUKI
Hair & Make:MADOKA ABO(SHISEIDO HAIR & MAKE UP ARTIST)
Model:GRETA(WIZARD)

結果発表

グランプリ・準グランプリは、原田忠・資生堂トップヘア&メーキャップアーティスト、奈良裕也「SHIMA HARAJUKU」アートディレクター兼クリエイティブスタイリスト、柳亜矢子「broocH」ディレクター、大出剛士「WWDビューティ」編集長の4人が審査。また「バーニーズ ニューヨーク」と「ミントデザインズ」の協力を得て、それぞれの賞を設けました。

グランプリ グランプリ

阿保麻都香 エントリーNo.12 / 資生堂ヘアメイクアップアーティスト

トレンドとファッションを絡めたフォトコンテストという点が魅力的で、こうしたコンテストでは初めて応募したいと思えて参加したので、グランプリを受賞できてうれしい。受賞作品のヘアメイクは、作り過ぎないように意識しながら、フロントにテクニックを感じてもらえるように仕上げました。

審査員コメント
クラシックな部分とクラフト的な編み込みの両極端な要素がひとつの画に入っていますが、これは難易度が高いテクニック。毛先をラフにして、完成の一歩手前を思わせる抜け感もいい。リップをポイントにしながらそれ以外を削った“引き算”も評価のポイントです。(原田忠)
ヘアメイクとファッションのバランスが良くて構図が完璧。この作品を見た瞬間に「コレ!」と思いました。一番に目が行くフィンガーウェーブとか無造作なフィッシュボーンだけじゃなく、背景の色や髪の色、ラメのリップやまつげも計算されています。(奈良裕也)
テーマだった2017~18年の春夏のトレンドファッションを上手く取り入れてるし、完成度が高い。このコンテストはいわゆる“ヘアコンテスト”ではないので、ファッション要素が強くて世界観がはっきりしているところが選んだポイントです。(柳亜矢子)

準グランプリ

麻生佑真 エントリーNo.40 / 「TREAT」オーナースタイリスト

普段の作品作りからファッションとのトータルバランスを意識しているので、そこが評価されて手応えを感じました。受賞作品も、まずモデルと衣装を決め、それらに似合うヘアメイクを模索していきました。

審査員コメント
ヘアカラーが独創的だと思います。根本をハイトーンで抜いて毛先に色を入れるのは、あまり見ないカラーリングなので、まずそこに目が行きました。背景のオレンジと毛先のブルーっぽい色とのコントラストもきれい。(奈良裕也)

伊豆島梓 エントリーNo.14 / 「vetica」アシスタント

受賞作品のポイントは、Uの字型の前髪。一直線だとハマり過ぎるので、ラウンドさせてあえて外しました。日ごろからコレクションを勉強していたことが、コンテストの準グランプリという形で評価されて励みになりました。

審査員コメント
抜け感やエフォートレスなトレンドはもう少し続くと思いますが、この作品は決めきっていない物言いたげな表情が魅力的。ヘアスタイルを見て「!」という感じではなく、パーソナリティがあって語りかける感じに惹かれました。(原田忠)

ミントデザインズ賞

山本雅英 エントリーNo.04 / 「Blic mt hairmake」代表

これまで大きなコンテストでノミネートされたことは何度かありましたが、受賞できたのは初めてなのでうれしい。受賞作品は、デヴィッド・ボウイをイメージし、その音楽を聴きながらシンプルに作りました。

審査員コメント
作品がかもす、トランスジェンダー感に引きつけられました。トレンドでもあるストリート色がありながら、ロマンチックさも感じられるところが魅力的。モデルの個性を殺さず、引き立てているところにも好感が持てます。(勝井北斗、八木奈央「ミントデザインズ」デザイナー)

バーニーズ ニューヨーク賞

嶋山豪 エントリーNo.38 / 「ACQUA AOYAMA」アシスタント

評価をしてもらえてとても光栄に思います。受賞作品は、ノージェンダーを意識して創作。ヘアは2017年に流行ったロングのハイレイヤースタイルにして全体を巻き、ゆるくダラけたカールにして抜け感を出しました。

審査員コメント
計算されたウェーブスタイルが印象的で、特にフロント部分が特徴的だと思ました。ヘアスタイルが独自に“スタイル”を主張しているところにファッション性を感じました。「アップスタイルや、フロント部分をセンターパーツにしたらどうなるかな……」などとアレンジの可能性が感じられたところも良かったです。(鈴木春/「バーニーズ ニューヨーク」ウィメンズファッションディレクター)

一般投票部門

高井マサキ エントリーNo.19 /
「クレージュ・サロン・ボーテ 天神今泉店」店長

審査員に選んでもらえただけでも光栄ですが、一般の方々にも投票で選んでもらえたことは、僕の美容師人生の中で最高の賞だと思います。受賞作品のヘアはミニマムでスクエアなシルエットの中に、ウェーブやうぶ毛で柔らかさを出しました。メイクとファッションは、モデルの個性を生かす形でシンプルに仕上げました。

審査員総評

4人の審査員それぞれに、「WWDビューティ」がコンテストを開催する意義についてや、応募作品全体を見て感じたことについて話してもらいました。

原田忠 資生堂トップヘア&
メーキャップアーティスト

「テーマに対する掘り下げ」が重要

美容業界のステレオタイプのコンテストよりも自由度があって、皆が楽しく創作している感じがしました。私自身も含めて、「ファッションとは何か」や「テーマに対してどれだけ掘り下げられるか」という勉強と気付きになりました。美容師はヘアを中心に考えがちだけど、メイクもファッションも融合したトータルビューティを意識するべき。業界全体の美意識やスキルの底上げになる企画なので毎年恒例にしてほしいです。

奈良裕也 「SHIMA HARAJUKU」アートディレクター
クリエイティブスタイリスト

ファッション性が高い応募作品が目立つ

コンテストの審査員をさせてもらうことが多々ありますが、ここまでファッション性が高いのは初めてなので、作品を見ていてとても新鮮でした。いつもトータルコーディネートを見て審査をしますが、首から上と下がちぐはぐなことが多々あります。ただ目立つから何かをつけるのではなく、なぜそれをつけるかというコンセプトが大事。これをきっかけに、ファッションをテーマにヘアメイクをもっと突き詰めていく人が増えたらいいと思います。

柳亜矢子 「broocH」ディレクター

美容師の“挑戦心”を掻き立てた企画

ファッション要素が強い「WWDビューティ」主催のコンテストは、美容師のやり甲斐や挑戦する気持ちを掻き立てるものがありました。美容業界のコンテストはお題が曖昧なことも多く、作品がぼんやりしがちですが、今回は「2017~18年のトレンド」とはっきりしたゴールがあり、作品として成立しているものが多かったイメージ。作品を作る際、テーマやメッセージ性が重要と再認識できるきっかけになったと思います。

受賞者による2月22日号の表紙と特集は紙面にて掲載!!

SHARE

CLOSE