ファッション

6セレクトショップが打ち出す2020年春夏トレンド 涼し気な“透け感”で猛暑対策

 12月上旬まで行われたセレクトショップの2020年春夏展示会は、春らしいペールトーンやシャーベットカラーに、ブラックやネイビー、ベージュなどでコントラストをつけたスタイリングがそろった。アイテムはセットアップ、シャツジャケット、ワンピースなど、19-20年秋冬のトレンドが継続するものから夏の定番までバリエーション豊富だ。

 特に目立ったのは、夏の猛暑に向けて“涼しさ”を感じる新鮮なスタイリングやアイテム提案に各業態が工夫を凝らしていたこと。6月の梅雨明けまで寒暖差のある気温が続き、次に襲ってくるのは長く厳しい蒸し暑さ。昨年売れたライトなアウターやノースリーブのワンピースなどの軽衣料が、今季はさらに進化して展示会に並んだ。ここでは6つのセレクトショップから、2020年春夏のトレンドを総括する。

ロンハーマンは、軽やかな素材で新鮮な“夏のモノトーン”

 ロンハーマン(RON HERMAN)は、“夏のモノトーン”を楽しむアイテムやスタイリングをそろえた。シアーな白いニットの下からカジュアルなTシャツが透けたり、ブラックドレスは透け感のある素材と組み合わせたりなどして、見た目の重さを軽減。春夏らしい色柄物も多くそろえ、少し色あせたようなブルーのグラデーションやストライプを用いたウエアや雑貨を打ち出した。

ユナイテッドアローズは、暑さを我慢しない!上品な“肌見せ”スタイル

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)は都心のバカンスをイメージし、ベースになる“トラッド”を着崩すようなシャツやワンピース、カットソーをバリエーション豊富にそろえた。特に夏場は、スペインのリゾート地を連想させるような鮮やかなカラーのワンピースや、羽織りものとして使えるシースルーのシャツなどを提案。暑さを我慢せず、上品に“肌見せ”ができるウエアを集めた。

エストネーションは、サマードレスをカットソー素材で新提案

 エストネーション(ESTNATION)は、シーズンの立ち上がりはジャケットやスプリングコート、それに合わせるボウタイやブラウスなどを打ち出す。「急に気温が変わることが多く、通年でライトなアウターが必要になってきた」と藤井かんなウィメンズ・ディレクター。夏に向けては、“フォークロア”や“マラケシュ”をキーワードに、カットソーやメッシュ素材のサマードレス、シアー感のあるシャーリングブラウスなどをそろえる。

インターナショナルギャラリー ビームスは、素材の良さが光るクチュールライクなウエアがずらり

 インターナショナルギャラリー ビームス(INTERNATIONAL GALLERY BEAMS)は、暑い時期を快適に過ごせる天然素材のウエアにフォーカスした。「クチュールの要素や、素材や仕立ての良さを感じるアイテムを買い付けた」と片桐恵利佳ディレクター。アメリカの画家ジョージア・オキーフ(Georgia O'Keeffe)などが着ていた服からイメージを膨らませた、リネンのドレスやカゴバッグなどを買い付けた。

イエナは、“卵色”アイテム×春コートで透明感のある上品スタイル

 ベイクルーズグループのイエナ(IENA)は、“記憶に残らない色”をキーワードに、淡いクリームカラーを“卵色”として、ブラウスやタートルネックのウエアなどに採用した。また春のアウターはセール前の買い控えの時期に合わせて、12月末から予約販売を含めて強化。明るい色味の“鮮度のあるアウター”を、冬から着られるウールやリネンなどのさまざまな素材で早めに打ち出すことで、春夏の立ち上がりの“買い”につなげる。

トゥモローランドは、「マラケシュピンク」で砂漠の乾きとリゾート感を表現

 トゥモローランド(TOMORROWLAND)は、アフリカ・モロッコのマラケシュに想いを馳せたコレクションを提案した。「マラケシュピンク」とも呼ばれるマラケシュの美しい街並みを連想させるローズピンクをキーカラーに、アフリカの砂漠をイメージするような乾いたパステルカラーを随所に散りばめた。全体的なシルエットは決してオーバーサイズではないものの、大人の女性が好むリラックスシルエットのワンピースやブラウスなどをそろえた。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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