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「アリクス」のマシュー・ウィリアムスが語る、「ナイキ」との協業から旧友キム・ジョーンズとの関係性まで

 ここ数シーズンの「ナイキ(NIKE)」は、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)をはじめ、キム・ジョーンズ(Kim Jones)やリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)ら気鋭デザイナーと協業したコレクションを次々に発表している。今年5月、このそうそうたる協業陣にまた新たなデザイナーが加わったーー「1017 アリクス 9SM(1017 ALYX 9SM)」を手掛けるマシュー・M・ウィリアムス(Matthew M. Williams)だ。

 マシューは、ウィメンズブランドとして自身の娘の名を冠した「アリクス」(現「1017 アリクス 9SM」)を2015年に立ち上げ、17-18年秋冬からメンズも始動。“アグレッシブ・エレガンス”をテーマに作り出す工学的なバックルベルト(通称ガチャベルト)やポーチといったアイテムで人気を博し、今年6月に初となるランウエイショーをパリで発表したばかりと、経歴だけを見ると若手デザイナーだ。しかしブランド立ち上げ前から、いまや伝説のグループと称されるアート集団ビーントリル(BEEN TRILL)をヴァージルやヘロン・プレストン(Heron Preston)らと共に結成し、レディー・ガガ(Lady Gaga)やカニエ・ウェスト(Kayne West)のクリエイティブ・ディレクターを務めるなど、業界内では早くから頭角を現していた。最近では、キム・ジョーンズの新生「ディオール(DIOR)」に、バックルのデザインで参画していたことも記憶に新しい。

 今回、「ナイキ」と協業した「NIKE X MMW TRAINING SERIES 001」では、“Future uniform of training(未来のトレーニングユニホーム)”と題したトレーニング・コレクションを発表した。運動した際に出る熱や汗をマシュー自らが分析し、そのデータや生体力学に基づいたウエアを製作。機能性に高いデザイン性を兼ね備えたウエアは発売前から大きな話題となり、すぐに完売した。

 そんな業界最注目の彼が、パリでの初ランウエイを終えてすぐ、コラボコレクションの発売に合わせて来日。短い時間ではあったが、「ナイキ」との協業から、キムとの関係性までを語ってくれた。

WWD:今回の「ナイキ」とのコラボレーションでは、なぜ機能性を重視した?

マシュー:「ナイキ」は企業理念が“If you have a body, you are an athlete(身体があれば誰でもアスリートだ)”であるように、アスリートのパフォーマンスをサポートするスポーツブランドだ。だからコラボするにあたって、本当にトレーニングで使えるものじゃないといけないと思ったんだ。機能性を重視したのは当然のことだよ。

WWD:トレーニングウエアながら「アリクス」同様、金具が使用されるなどインダストリアルな要素を感じるが?

マシュー:僕はいつも自分が好きなものをデザインしているだけで、特に意識はしていない。自然と僕らしいデザインになったから、「アリクス」と似たのかもしれないね。

WWD:先日、キム・ジョーンズによる初の「ディオール(DIOR)」にバックルのデザインで参画していたが、どのようなリクエストがあった?

マシュー:僕が「アリクス」で作るのはいつもハードウエアだから、キムには『「ディオール」のコレクションのためのハードウエアを作って欲しい』と頼まれたんだ。そもそも彼とはずっと前から友達ーーというよりも僕が「アリクス」をスタートさせる前からの“メンター的存在”と言ったほうが正しいかな。彼は僕の結婚式のスーツと妻のウエディングドレスを手掛けてくれたし、娘の名付け親でもあるんだ。もうここまでくると、友達であると同時に家族と言ってもいいかもしれない(笑)。

WWD:他にもアーティストのカウズ(KAWS)やYOON「アンブッシュ(AMBUSH)」デザイナーが参画していたりと、キムのように“みんなで作るコレクション”についてはどう思う?

マシュー:他のデザイナーもより良いコレクションを作るためにいろいろな人の協力を得ているし、いまの時代では普通のことだと思うよ。ただ他のデザイナーとキムが違う点は、協業した人たちにもちゃんとスポットライトが当たること。簡単なことだと思うかもしれないけれど、なかなかそれができるデザイナーはいないんだ。YOONに関しては、本当に素晴らしいジュエリーデザイナーだと思うよ。

WWD:キムやヴァージルら旧友がメゾンのトップに就任しているが、あなたもそうなりたいと思う?

マシュー:それは僕の長年の夢だから、実現したら本当にうれしいよ!どこかのメゾンから依頼がこないかな(笑)。