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「女性が一生で食べる口紅は30本」“食べられる”口紅にこだわる「アムリターラ」の商品開発

オーガニックコスメブランドの「アムリターラ(AMRITARA)」はこのほど、東京・祐天寺の同社オフィスで「新バラの口紅ティーパーティー」を開催した。9月2日に発売した“ローズアミュレットルージュ”の新色“ノーブルベージュ”(2g、3630円)のお披露目会で、商品開発のこだわりをメディア関係者に伝えた。

同ブランドは「いらないものは、いれない」という信念から厳しい基準で商品開発に取り組んでいる。口紅は必ず口の中に入るため、より厳しい基準が必要だという。「毎日口紅を使う場合、一生のうちに約30本を食べることになる。食べられる、むしろ食べた方がいいくらいの口紅を作ろうと考えた」と商品開発を手掛ける勝田小百合代表は話す。

“ローズアミュレットルージュ”は、合成着色料やコチニールのほか、「世の中の99.9%以上の口紅に入っている」(勝田代表)という酸化チタンを使用していない。その代わりに、酸化亜鉛、酸化鉄、バラで着色した。バラはエディブルフラワー(食べられる花)として菓子の原料にも使用されている、さ姫という品種を採用した。口紅のオイルは一般的に石油由来のミネラルオイルを使用するが、オリーブ果実油やアンズ核油、アルガンオイルといった保湿力に優れ、酸化しにくい植物オイルを複数配合した。

厳しい基準を設けたために2014年の誕生時は1色のみのラインアップだったが、社内のスタッフや顧客からの「他の色も欲しい」というという声を受けて、2色目となる新色の発売に至った。ブラウン寄りのベージュカラーでどのような肌色にもなじみやすく、自然な血色感を演出する。

合成着色料と天然色素の違い

アムリターラによると、口紅は合成着色料を使用する商品が大半だ。現在、合成着色料は石油から合成して作っているが、長らく石炭のコールタールから製造していたためにタール色素と呼ばれている。タール色素の問題点はまだ歴史が浅く、「使用許可されていたが後に発がん性の疑いが高くなり、禁止されるという事例が多い」と説明する。

タール色素は何百種類もあり、日本では食用として12種、化粧品成分として83種許可されている。そのうち口紅に使用できるのは58種だ。この中には、「諸外国では発がん性が認められていて使用禁止になっているが、日本ではまだ許可されている種も含まれる。日本化粧品工業会は独自の基準により自粛する成分を定め、多くの化粧品会社がその基準に準じている」と話す。

多くのオーガニックコスメでは、タール色素を使用しない。その代わりに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、グンジョウなどの色のついたミネラルや、樹皮、果実、花びらなど植物由来の色素で色をつける。赤色を出す着色料としては、コチニールと呼ばれる虫由来の天然色素を使用する方法が主流だ。コチニールの抽出には、えんじ虫のメスを使用する。卵を持つと2倍に膨らみ、それを集めて乾燥させ、すり潰して抽出する。勝田代表はこの手法を調べていた際に「同じ女性として卵をはらんだ虫を潰す。そしてそれを口や目につけるのかとか思ったらゾッとしてしまった」と話し、“ローズアミュレットルージュ”の開発には使用しないことを決めた。コチニールは、12年に消費庁がアレルギー性を持つとして注意喚起を出している。

酸化チタンも世の中の口紅の大半が使用している成分だが、勝田代表は発がん性を懸念し、14年当初から使用せずに開発していた。21年、欧州食品安全機関で「酸化チタンは遺伝毒性の懸念を排除できない」と評価され、22年には食品添加物としての使用が禁止になった。

口紅の原料“さ姫”を実食!

説明後、口紅の原料であるさ姫を材料に使用したドリンクとスイーツが来場者に配られた。メニューはバラと梅の甘酸っぱい夏のドリンク、ローチョコレート、さ姫の寒天ゼリーとソースだ。

ドリンクは水出しで抽出したさ姫に、黒はちみつや梅酢などを加えた。ローチョコレートはアリバ種のカカオ、アガベシロップ、菊芋のシロップなどで作成。寒天ゼリーはさ姫にお湯を注いでレモン汁を加え、鮮やかなピンク色に仕上げた。

ルージュを使用したデモンストレーションを実施

最後に、女性誌をメインに活躍するメイクアップアーティストの菊地美香子さんによる新色のルージュを使用したメイクデモンストレーションを実施した。モデルはZ世代をターゲットとしたブランディング・マーケティング支援会社社長であり、コスメコンシェルジュの資格を持つ奥原ゆきのさんが登壇した。

菊池さんによると、リップはジャストラインで塗るスタイルを推奨している。デモンストレーションでは、リップだけでなく、チークやアイシャドウとしても使用した。チークでは、ベージュの色味で頬が蒸気しているかのように演出。鼻の頭、上まぶた、下まぶたにも塗り、メイクが完成した。

このほか、UVパウダー“オールライトサンスクリーンパウダー”(10g、3850円)や、スキンバーム“ブラックシード バリア バーム”(17g、2970円)など、菊池さんが愛用する「アムリターラ」のアイテムも紹介した。

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