ファッション

「ZOZOスーツ」ひっそりとサービス終了、大きな話題を集めるも「衣服革命」の道半ば

 「ゾゾタウン」を運営するZOZOは5月24日、身体計測の「ZOZOスーツ」のサービスを終了すると発表した。6月23日正午以降、計測と計測結果の閲覧機能が利用できなくなる。「ZOZOスーツ」は前澤友作・前社長時代に大きな話題を集めたサービスで、特殊なマーカーの付いた同スーツを着用し、「ゾゾタウン」アプリを使うだけで3Dスキャンとほぼ同等の詳細な身体データを計測できた。同スーツの計測結果と連動してスタートしたジーンズやスーツなどのプライベートブランド「ZOZO」もすでに販売を終了している。導入時には「テクノロジーの力で服のパーソナライズを実現する画期的なサービス」として注目を集めたものの、大きな成果を収めることはできなかった。

 ZOZOは2017年11月22日、当時創業者で社長を務めていた前澤友作氏の誕生日と合わせて「ZOZOスーツ」を発表。当初センサーを張り巡らせ精密機械とセットだった全身タイツだった初回版を経て、翌年の18年4月にはマーカーを使ったタイプを発表。同年7月にプライベートブランド「ZOZO」のTシャツやデニム(その後スーツやニット、オーダースーツも発表)すると、7月18日には時価総額が1兆5052億円にまで爆騰した。

 だがその後、PBアイテムのスーツはサイズの不備が発生するなど問題が多発。18年の年末には会員制割引サービスの「ZOZOARIGATO」に不満を持った有力アパレル企業が離反し、さらに翌年19年1月末の決算発表時にはPB事業での売り上げ計画の大幅な未達が判明すると、株価は急落。同年9月には前澤友作氏自体が持ち株を売却し、社長職を辞任。ZOZOからも離れていた。

 前澤氏のあとを継いだ澤田宏太郎社長は、就任後すぐに新たな経営指針として“MORE FASHION”と“FASHION TECH”を打ち出し、ZOZOを再び成長軌道に乗せており、22年3月期の業績は商品取扱高(流通総額)が前期比21.3%増の5088億円、売上高が同12.8%増の1661億円、営業利益が同12.5%増の496億円、経常利益が同11.9%増の496億円、純利益が同11.5%増の344億円に。20年3月に3000億円台に落ち込んだ時価総額も5月24日には8130億円にまで回復している。

 なお「ZOZOスーツ」の技術を受け継いで開発した足の計測サービス「ZOZOマット」と、肌の色の計測サービス「ZOZOグラス」は継続する。

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