ビューティ

エスティ ローダーの役員がSNSへの差別的投稿で解雇

 エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)は自身のインスタグラムアカウントで差別的な投稿をしたとして、ジョン・デムジー(John Demsey)=エグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)を3月4日付で解雇する。デムジーEVPは黒人に対する差別発言に加え、新型コロナウイルスにまつわるジョークを投稿し、SNSで多くの批判を集めていた。

 デムジーEVPはインスタグラム上で謝罪文を投稿。無給の出勤停止の懲戒処分を受けていたが、SNSでの炎上の末に解雇に至った。米「WWD」のコメントには応じなかった。彼はメイクアップブランドを筆頭にいくつかのブランドを監修していたが、後任については不明だ。同社の広報は「デムジーEVPが担当していたブランドはそれぞれのグローバル・プレジデントが当面は監修し、ファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)社長兼最高経営責任者(CEO)の管轄になる」と発表している。

 同社のウィリアム・P・ローダー(William P. Lauder)=エグゼクティブ・チェアマンとフリーダ社長兼CEOは「デムジーEVPのインスタグラムの投稿は、エスティ ローダー カンパニーズの価値・倫理観と合致しない内容で、多くの人に不快な思いをさせた。われわれはダイバーシティ&インクルージョンを推し進め、多様性と平等性は全世界的に真剣に大切にしている。特に(BLM運動後の)ここ2年で人種の多様性の向上に向けて真剣に取り組んできた。今回の彼の行動は当社のそうした努力を裏切った」とコメントしている。

 実際、同社はここ数年でダイバーシティ&インクルージョンの施策を強化しており、BLM運動直後の2020年5月には黒人の従業員を増やすことを社内に宣言した。21年9月には黒人の詩人、アマンダ・ゴーマン(Amanda Gorman)をグローバルチェンジメーカーに任命し、彼女が率いるリテラシー(識字)基金に300万ドル(約3億4500万円)を寄付した。また年に2回、男女間の所得差の撤廃やサステナビリティといった社会問題への進捗レポートを出している。
 
 デムジーEVPは1991年に同社に入社し、2015年に現職に就いた。最近は「M・A・C」「クリニーク(CLINIQUE)」「トゥー フェイスド(TOO FACED)」「スマッシュボックス(SMASHBOX)」「グラムグロウ(GLAMGLOW)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」など、主にメイクアップブランドを監修。ポップカルチャーのコラボレーションが得意で、「M・A・C」はリアーナ(Rihanna)やサウィーティー(Saweetie)、マライア・キャリー(Mariah Carey)、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)、レディー・ガガ(Lady Gaga)、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)といった大物セレブと協業してきた。「M・A・C」の成長をけん引し、同ブランドを担当するようになった1998年は卸の売り上げが1億4000万ドル(約161億円)ほどだったが、今や数十億ドルになるまでなった。またデザイナーのトム・フォード(Tom Ford)と「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」のメイクアップコラボレーションをスピンオフさせ、「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」をスタート。売上高10億ドル(約1150億円)を超えるほどのメガブランドに成長させた。

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