ファッション

私を変えた3人のデザイナー【アナ・スイ編】 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」Vol.12

ニューヨークで私は3人のデザイナーに出会った。彼らは、私が自分自身を知り、アイデンティティーを持って未来を描くことの自由と創造力を教えてくれた。

最初に衝撃を受けたのは、パーソンズの大先輩にあたるアナ・スイ(Anna Sui)だ。

ニューヨークに渡って半年くらい経ったころ、あるきっかけで彼女と出会った。「アナ スイ」は、幼いころから憧れだったブランド。“好きなブランドを創設した本人”を前に、彼女との会話は本当に緊張した。テーブルチェアに腰を掛けてゆっくりと話す彼女は、せわしないニューヨーカーとは違い、自分を持った落ち着いた女性だった。音楽や昔のニューヨーク、アートやデザインなど、実体験や自分の足で学んだことをたくさん話してくれた。

彼女は音楽やカルチャーをこよなく愛していて、考え方にルーツがあった。「デザインという魔法やアイテムを通じて、そのルーツは消費者に伝わるのだ」と、私が「アナ スイ」に惹かれた理由が、デザイナーとしての彼女のアイデンティティーだったことに気付いた。

そして、彼女の最後の言葉が私を変えた。

「あなたはいつまでニューヨークにいるの?ここは人の入れ替わりが激しくて、世界で一番いいものと悪いものが集まっている場所よ。そんな場所は、世界中探しても他にはないわ。だから、ここにいる間は可能な限りいろいろなものを見て、感じて、何が良くて、何が悪いのかを全て自分で判断できるようになりなさい」。

「自分の物差しを持つには情報が必要」と考えた私は、たくさんの書籍やアート本を読み、ギャラリーや美術館、アートフェア、展示会を回れるだけ回った。話題の店はチェックして、舞台やライブにも足を運び、ジャズにも出合った。

書籍は私を健康へと導いてくれ、最初はわけが分からなかったアート本も次第に読めるようになった。ジャズは最高にサステナブルな音楽であることも知った。

アナ・スイの言葉は、心と知識を豊かにしてくれた。私もいつか彼女のように、生きる活力とヒントを人々に与えられるデザイナーになりたいと決心したのだった。

次週、「トミー・ヒルフィガーとの出会い」につづく……

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