ファッション

「推し時計、燃ゆ」 愛称を付けて機械式を愛でるOLのインスタ生活に密着

 「推し時計、燃ゆ」2回目のゲストは、都内の金融機関に勤める秘書兼総務のゆうさん(30代)だ。絵に描いたようなキラキラOLライフを送りながら、メンズライクな時計ばかりをインスタグラム(INSTAGRAM)にアップしている。謎多き生態に迫るべく、ゆうさんの半日に密着した。

WWD:平日昼過ぎの待ち合わせですが、午前中は仕事だったんですか?

ゆう:はい。有給で午後休を取りました。実は、これが私の一番好きな時間の過ごし方なんです。午前中に仕事を終わらせて、週末だと混み合ってしまうイベントに参加したり、お気に入りのカフェでまったりしたりが至福のひとときなんです。

WWD:今日のプランを教えてください。

ゆう:桜の開花発表があったので、六本木さくら坂まで散歩してみようと思います。

WWD:なかなか高めのヒール靴を履いてらっしゃいますが大丈夫ですか?

ゆう:もう慣れっこです(笑)。あ、でもバッグには替えのフラットシューズも入っています。散歩が好きで何時間も歩くこともあります。気になるお店があったら、ふらっと入れるのもいいですよね。

WWD:そんな散策のお供は?

ゆう:「オメガ(OMEGA)」の“シーマスター プラネットオーシャン”です。私は“ゆきちゃん”と名前も付けています(笑)。

WWD:“ゆきちゃん”?

ゆう:2年前の冬に購入したんですが、そのときの広告ビジュアルが雪の中でたたずんでいるもので、「素敵!」って思ったんです。それにダイヤルもベゼルもベルトも真っ白なので。これが私にとって初めての高級時計になりました。

WWD:冬にダイバーズ、さらに女性がファーストウオッチでダイバーズ、いずれもなかなかに珍しい例ですね?

ゆう:私もダイバーズウオッチを選ぶとは思ってもいませんでした(笑)。もともとフェミニンなものが好きで、時計にも全く興味がなかったんです。働く金融業界もコンサバティブで、時計を熱く語るような人はいません。一方で、時計には“大人の必須アイテム”というイメージを持っていて、“いつか定番の良いものを”とは考えていました。数年前に、年齢的にも仕事的にも一つ節目を迎えるタイミングがあったので、記念に時計を買おうと検討し始めました。当初は、女性ファッション誌で“いい女のマストアイテム”として紹介される「カルティエ(CARTIER)」の“タンク”など、きゃしゃで女性らしいものを候補にしていたんですが、せっかくだしいろいろ見てみようと時計好きの弟に相談しました。それぞれのブランドの歴史や長所を教えてもらい、実機をタッチ&フィールしているうちに、どんどん時計の世界に引き込まれてしまって……。およそ1年がかりで決めたのが“ゆきちゃん”なんです。約70万円とOLにとっては高額な買い物でしたが、時計はきちんと手入れをすれば何十年も使えます。一生の相棒になるかもしれない時計を選ぶにあたって、「きれいだね」と言ってもらえる憧れ系より、「なぜその時計を選んだの?」と思わず聞きたくなるようなストーリー性のあるものに魅力を感じました。

WWD:実際に相棒と2年ほど過ごしてみて、どうですか?

ゆう:気負わずがんがん使えるタフさが気に入っています。600m防水なので着用したままでも海に飛び込めちゃいますし、機械式時計にとってパソコンやスマートフォンの磁気は天敵ですが、“ゆきちゃん”は高い耐磁性を持つので安心です。パーツが摩耗しづらく、オーバーホールが少なくて済む点もいいですね。本当に心強い子で、おばあちゃんになっても着けていたいです!

WWD:さて、桜を愛でたあとの予定は?

ゆう:赤坂の「虎屋菓寮」まで足を延ばして、季節の生菓子を堪能しようかと。雰囲気もとても良くて、抹茶もいただけるんです。

WWD:時計も2本目に着け替えて、インスタ用撮影再開ですね。

ゆう:「ショパール(CHOPARD)」の“アルパイン イーグル”は、2020年9月に2本目の相棒として迎え入れました。友人の付き添いで何げなく試着してしまったが最後、完全にひと目ぼれでした(笑)。その後、調べていくうちに、オーナー家のショイフレ3代の時計への思いや、4年の歳月をかけて開発したこだわりの素材などに感銘を受け、ますます夢中に。約120万円と“ゆきちゃん”を上回る買い物になりましたが、よりスマートな印象で、使えるシーンも多く重宝しています。ちなみに、この子の名前は“ゆきまるくん”です。アルプスの雪山にインスピレーションを受けた時計であることと、“ゆきちゃん”の兄弟であることから命名しました(笑)。

WWD:最近のインスタ投稿は、もっぱら“ゆきまるくん”ですね。

ゆう:時計ファンの間で話題のモデルなんですが、まだ投稿が少なく、購入を検討している方の参考になればと、こちらがメインになっています。ありがたいことに、「投稿を見て購入しました!」という声も何件かいただいています。

WWD:ゆうさんにとって時計とは?

ゆう:“スイッチを押してくれるもの”です。それぞれにそういう存在ってあると思うんですが、時計は小さくて、いつでも身に着けていられるのがいいですね。仕事で落ち込んだときも、ぱっと目を手元に向ければ時計があります。文字盤や針の仕上げにうっとり心癒やされるのはもちろん、小さなケースの中に精密機械が搭載されていて、私が悩んで立ち止まっている間も動き続けている……。そんなことを考えていると、「よし!また頑張ろう」と力が湧いてくるんです。耳を当てると聞こえる、規則的なカチカチという音にもリラックスできます。“なんでもない1日も、大好きな相棒となら豊かになる”、そんな存在ですね。

<「推し時計、燃ゆ」とは?>
「推し、燃ゆ」が芥川賞を受賞し、“推し活”が豊かな生き方につながるとの認識が広まっている。そこで元来、推しの要素が強い時計の世界で、さまざまな人に“推し時計があることで得られる幸福感”や“そもそも、なぜ推しているのか?”などを聞き、時計の持つ“時間を知る”以上の価値について探る企画。

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