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釣りの機能をファッションに盛り込む「ディーベック」に新デザイナー就任 21年春夏コレクションはバーチャルショーで魅せる

 釣り用品を製造・販売するグローブライドが手掛けるアパレルブランド「ディーベック(D-VEC)」は、ヨウジヤマモト社で経験を積んだ齊藤亮太を新デザイナーに起用した。齊藤は2021年春夏シーズンからデザインチームの指揮をとり、釣り具の機能を活かしたブランドとして価値向上と認知拡大を目指す。

釣り具のノウハウを
アパレルに活用

 運営会社のグローブライドは、「ダイワ(DAIWA)」の名称で知られる釣り用品メーカーだ。09年に創業50周年を迎えて企業理念を刷新しコーポレートドメインを「A Life time Sports company」と定義した。さらにファッション好きな消費者への認知拡大も目指し、「ダイワ」のクリエイティブディレクターに佐藤可士和を起用するなど新たな試みに着手。そして17年、ファッションに特化したブランドとして「ディーベック」を立ち上げた。

 同ブランドでは、釣り糸で使われている素材を編み込んで着心地のいい軽量生地を開発したり、釣り竿向けのしなやかで高強度なカーボンを傘に取り入れたりと、長年培ってきた釣りの技術と機能をファッションに盛り込んでいる。釣りと相性のいいアウトドアテイストを好む消費者から一定の評価を獲得しているが、「モードなデザインで感度の高い消費者をさらに呼び込み、プレミアムブランドとして飛躍したい」(小林謙一執行役員)と考え、齊藤デザイナーの起用に至った。

 齊藤ザイナーのデビューコレクションとなる21年春夏シーズンは、カッティングが幾重にも重なるテーラードジャケットやファスナーを多用したボリュームのあるトレンチコート、ウエストのギャザーとツートンカラーが特徴のドレスなど約50型がそろう。テーラードジャケットには生地端の始末が不要なレーザーカット裁断を採用し、生地は軽やかになびく。ドレスはポリエステル100%だが、繊維に撚りをかけないタスラン加工によりコットンのような風合いを持ち、撥水性能も備える。これまでの「ディーベック」は機能を全面に押し出したストイックな服がメインだったが、齊藤デザイナーのフィルターを通して遊び心が加わった。

新デザイナーが語る
ブランドの可能性
「釣りには
たくさんの宝が眠っている」

 アウトドア要素をファッションに組み込むブランドは少なくない。齊藤デザイナーも「アウトドア×ファッションのアプローチは、すでに完結しつつある」と考えたうえで、「ディーベック」に大きな可能性を見出す。「先駆的ブランドはあるが、“モード”にフォーカスしたブランドは少ない。また会社には世間に知られていない技術がたくさん眠っている。それらを掘り起こして、いかに現代のファッションと融合させるかが腕の見せ所だ。ロジカルなスキルやモチーフをコレクションに取り入れるのは個人的にも好きなアプローチなので、気負わず楽しんでデザインしていく」と齊藤デザイナーは語る。

 “異業種が手掛けるアパレル”という点も、齊藤デザイナーの振り切った服作りを後押ししているようだ。「パンデミックでアパレル業界は現在混沌としている。基盤が他にある我々が、ファッションシーンが停滞しないよう引っ張っていかなければならないと思う」。

最新技術を詰め込んだ
バーチャルショー

 「ディーベック」は過去に東京コレクションに参加するなど、業界向けのプロモーションにも注力している。2021年春夏シーズンはバーチャルショーケースとしてコレクションを発表する。“釣り糸”や“前進”をキーワードにストーリー仕立てでルックを流す映像と、3D空間で各アイテムの詳細を確認できるショールーム的な映像の2編で構成し、「これまでになかった表現になる。業界関係者はもちろん、一般ユーザーも『ディーベック』が変わったことを実感してもらえるはずだ」と担当者は意気込む。

問い合わせ先
グローブライド
042-475-2408