ファッション

「服にかけるお金が減っている」と2万8000人中62%が回答 「ジーユー」が着回し提案を強化

 お盆シーズンを迎え、そろそろ秋物の本格的な立ち上がり時期となっていますが、「ジーユー(GU)」が2020-21年秋冬の展示会でとても気になるデータを発表していました。それは、「6月下旬にブランドの公式インスタグラム上でアンケートを行ったところ、約2万8000人中62%が服にかけるお金が減っていると答えた」というもの。コロナ禍を受けてそのようなことは想定していましたが、実際にデータとして突き付けられると、ファッション業界に身を置く自分としては心にズッシリきます。感染再拡大で不透明感は増しており、秋以降はよりいっそうの消費停滞もあり得るかもしれません。

 そんなアンケート結果を受け、「ジーユー」が“新しいおしゃれ”として打ち出していたのが「ONE2MANY WARDROBE」というキーワードでした。このキーワード、簡潔に言えば「気温の変化に応じて、何通りにも着回せるアイテムをそろえる」といった内容です。“着回し”は今やウィメンズファッションでは欠かせない要素になっていますが(多様な着回しが可能=コスパがいい、という表現、SNS上にも雑誌にもあふれていますよね)、実際に「ドゥーズィエム クラス(DEUXIEME CLASSE)」などの人気ブランドを取材すると、社内検討会などで着回しを徹底的に追求しています。その徹底ぶりには驚くほどです。

 「ジーユー」として、改めて多様な着回しが可能なアイテムを提案してコスパを高め、ファッションの楽しさを消費者に届けるということが狙いなのだと思いますが、分が悪いなと感じるのは、「ジーユー」はトレンドのアイテムが手頃な価格で買えるところが強みである点。正直、着回しの多様さって、ベーシックやシンプルが得意なブランドの方が表現しやすいですから。「ドゥーズィエム クラス」もどちらかというとベーシック寄りですし、消費の冷え込みを想定して、秋以降はシーズン問わず売れるベーシックな定番品を増やすという動きはファッション業界全体に広がっています。「『ONE2MANY WARDROBE』はベーシックでやるなら簡単。それを『ジーユー』はトレンドのアイテムでやろうとするから難しい」と「ジーユー」の担当者も話していました。

 というわけで、トレンド性と着回しをいかに両立させるかがカギである「ジーユー」の「ONE2MANY WARDROBE」ですが、20-21年秋冬のその答えはシアーシャツ、サロペットを含むイージースラックス、軽いアウターなどにあるようです。シアー(透ける素材の)シャツは今夏のトレンドアイテムとして街でもよく見かけますが、それを既に7月から店頭に投入している晩夏初秋物のコーナーで提案していたのはもちろんのこと、気温がより下がった時期の着回しとして、セーターやアウターのインナーとしてチラ見せするレイヤードスタイリングも提案していました。スラックスも、まだまだ暑い時期は半袖ブラウスと合わせて、よりシーズンが進んだらスエットトップスやセーターと合わせてといった具合です。軽いアウターもさまざまなレイヤードを提案していました。

 こんなに何通りにも着回せても、もちろん価格はシアーシャツが1490円、サロペットが2490円と、「ジーユー」プライス据え置き。また、1着を長い期間楽しめるということで、サステナビリティの面も「ジーユー」では意識しているようです。老婆心ながら、「1着でこんなにも着回せるとアピールしたら、シーズンを通した購入着数が従来よりも減ってしまわないんだろうか」などと私は思ったりもしましたが、コロナで消費者の財布のヒモが固くなっている中で(コロナを除いてもファッション消費への熱がやや停滞気味な時代ですし)ファッションの楽しさを感じてもらうためには、着回しによるコスパの打ち出しがこれまでよりもいっそう重要になってくるのかもしれません。同時に、トレンドと着回しの両立を「ジーユー」にやられてしまったら、手も足も出ないという中小アパレルメーカーの嘆きも、聞こえてきそうです。

最新号紹介

WWD JAPAN

「セレクトショップ特集2020」今、ファッションビジネスに必要なことは?目から鱗のユニークなアイデアが満載

「WWDジャパン」11月23日号は、約1年ぶりとなる「セレクトショップ」特集です。今年は“ウィズコロナ時代にセレクトショップに必要なこと”をテーマに、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)、ベイクルーズ(BAYCREW’S)、ビームス(BEAMS)、アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)、デイトナ・インターナショナル(DAYTONA INTERNATIONAL)、バーニーズ …

詳細/購入はこちら