ビューティ

資生堂のメイクアップアカデミー「サブファ」校長に計良宏文氏が就任 “本物の力”を育みアフターコロナを生き残れ

 資生堂のメイクアップアカデミー&スタジオ「サブファ(SABFA)」は、東京・原宿駅前の複合施設のウィズ原宿内に6月18日に移転し、7月から資生堂トップヘアメイクアップアーティストの計良宏文氏が新たな校長に就任した。

 計良新校長は「尊敬する先輩方が歴代の校長を務めているのでプレッシャーはとても大きく正直迷いもあった。しかし、今までの学校を引き継ぐのではなく新たに変えてほしいという任命でもあったので、自分が次期校長として期待されているとも感じて引き受けた」と語る。

 これまでは美容師資格を持った人を対象とした「ビューティークリエイターコース」(1年間、前期週4回/後期週3回)と、「サロンメイクアップコース」(半年間、週1回)の2コースだったが、10月からカリキュラムを大きく刷新。「ベーシックメイクアップ」「ベーシックヘアメイクアップ」「アート&ディレクション ヘアメイクアップ」「アドバンスメイクアップ」「アドバンスヘア」の5コースを10月から順次開講する。「ベーシックメイクアップ」「アドバンスメイクアップ」に関しては美容師免許を持たない人でも受講することができる。

 「サブファ」には、メイクアップスキルを磨き、スキルを磨いてファッションや撮影現場での活躍を目指す美容師が全国各地から集まるのが特徴だ。しかし、これまでの「ビューティークリエイターコース」は通学回数が多く、サロンを離職してから挑戦する美容師も多かった。さらに、「半年間のコースは比較的通いやすいという意見も耳にしていた。1年間のコースは、卒業した人にとっては非常に勉強になったという意見を聞くものの受験者は減少傾向だった。少子化はもちろん、就職が不安定な時代に一度職を離れることに対する不安もある。そこで働きながら通えるコースを目指した」と話し、10月からは週1回のコースを増やした。

 「『サブファ』の卒業生にとっても、コースががらりと変わるので学び直すこともできる。また知らなかった人たちにとっては自分の夢をかなえる一つのステップとして捉えてもらえたら嬉しい。美容師免許を持たない人も受講できることになることで、化粧品の美容部員など新たなターゲットもできた。『サブファ』が、ヘアメイクを含めていろいろな角度から美を学べて活用できるような学校、そして人の集まりになったら」と新コースに対しての思いを語る。

生き残るために
必要なのは“本物の力”

 そうはいってもスタイリストとして働く多くの美容師にとって、サロンワークを続けながら新たに技術を学び、サロンの垣根を超えた活動を行うことはなかなか難しい。専門学校を卒業して美容師として働きながらも「サブファ」で学ぶ意義はなんだろうか。

 「学びの場として美容学校の先にあるのが『サブファ』だと考えている。現場に出ているプロだからこそ教えられることを伝えていきたい。美意識や感性を大人になってから学べる場所はとても少ない。中でもクリエイティブのようなものは経営者にとっても必要だといわれる時代だからこそ、『サブファ』のような学校は需要があるのではないか」と計良校長は話す。

 計良校長自身、コロナ禍によって対面での業務をオンラインに切り替えたり、撮影やコレクションの中止でメイクをする場がなくなったことで、「ヘアメイクアップアーティストは機械にはできない仕事であり、リアルかつ人がいて初めて成り立つと改めて実感した。だからこそ、環境が変化しても“本物の力”がないと生き残っていけない。あらゆる情報の中から見分ける審美眼、そして良いと思ったものをしっかりと身につけることが大切になる」と強調する。コロナ下の不安定な今こそ、技術や感性を磨く意義は大きい。

 また、多くのサロンはメイクアップをメニュー化できていないが、そんな中でも美容師がメイクの技術を高める必要性を語る。「トータルビューティの提案力は非常に大事。メイクのことを深く知ることでヘアに対しても違った視点を持つことができる。サロンではメイクアップのメニューがないところも多いが、ワンポイントアドバイスもできる。メイクアップは免許が要らないものだからすぐにでも取り入れられるし、提案が増えて非常に役立つはずだ」。

 髪型や髪色を変えたらそれに合うメイクを提案してみることは、些細なことかもしれないが顧客との会話のきっかけやそのサロン、スタイリストを選ぶ理由になるはずだ。サロンにとっても不安定な今だからこそ、顧客に選ばれるための武器はいくつも持っておくべきだろう。

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