ファッション

マスクが手放せない今、肌を健やかに保つための4箇条 選び方から、スキンケア、メイクアップまで

 もはやマスクは肌の一部になってしまったのではないか、という日が続いています。新型コロナウイルスといった流行病だけでなく、今や一年を通して心配な花粉症にも悩まされる昨今、「肌荒れを訴える受診者が増えた」と津田攝子・津田クリニック副院長 皮膚科専門医。また、河合朝奈アヴェニュー六本木クリニック医師は、「肌に摩擦が生じるだけでなく、蒸れることで口腔雑菌が繁殖してしまうこともある」と述べ、津田先生は「マスクやゴムの刺激が引き起こす、カブレやニキビに悩む人が増えている」と言います。

 肌にトラブルを生じさせる可能性の高いマスクが、毎日の生活に欠かせないのなら、できる限り肌ダメージを最小限に留められる施策が必要です。そのためには、正しい知識を持つ先生に教示いただくのが近道。今回、2人の皮膚科専門の医師に指南を願い、マスク選びからスキンケア、メイクアップまで、美肌を保つために行うべき4つについて考えます。

1 肌の負担を極力抑えるためのマスクはどのように選び、着用するのが正解?

 マスクを着用するたびに私自身が感じるのは、とにかく暑いということ。その環境について、2人の先生は共に、マスクの内側は湿度が高くなることで口腔内雑菌が繁殖しやすくなることに注意を払ってほしいと呼びかけます。市販のマスクには、プリーツ型、立体型、ポリウレタン製などさまざまな形状があります。これらの中から選ぶ時、すべてのタイプに共通して気をつけたいのは、自分の顔のサイズにきちんと合ったものを選ぶこと。「鼻に頬、フェイスラインの隙間がなく収まり、それ以外は肌との接触する面積が小さく、ずれることがないものを選ぶことが大事です」と河合先生は説きます。

 今後ますますマスクの入手が難しい状況になることを考えると、自作する人も増加しそうです。その際の注意点として河合先生は、「ガーゼやコットンの天然素材の方が肌トラブルを引き起こしにくい」といい、津田先生は、「肌に摩擦刺激を感じないものであることが大切。真新しいガーゼで作る場合は、揉み洗いをして柔らかくしてから使いましょう。シルク混など肌触りのよい生地を選ぶのもおすすめです」と素材選びと素材の刺激をなくす工夫が重要であると示します。

2 “肌にやさしい”をうたい文句にするマスクは本当に肌にやさしい?

 近年、よく見かけるようになった“肌にやさしい”マスク。その種類は増加の一途で、就寝時に用いるタイプも登場しています。素材や用途は異なりはするものの、その多くが肌刺激を軽減させてくれるもので、オーガニックコットンやガーゼなど、素材を厳選しているものが目立ち、テクスチャーが柔らかいのも特徴です。

 「敏感肌向けに抗菌剤無添加のものもありますが、使い捨てることを守り、正しい使用であれば衛生面では問題ありません」と河合先生。また、このところ目にする機会がにわかに増えたポリウレタン製のものについて、津田先生は「蒸れに注意すれば、肌に刺激が少なく、洗える点でも優秀です」と話し、どんな素材でも、マスク内の温度が長時間上がり過ぎると蒸れを起こすため、肌はかえって刺激に弱くなり、肌荒れする可能性があるという見解を示します。暑い夏の季節は、これまで以上にマスク内の温度に注意を払う必要がありそうです。

3 マスクを着用した日のスキンケアで注力すべきこととは?

 マスクを着用することで肌は保湿されていると思っている人、意外に多いのではないでしょうか。しかし、それは全くの誤認。「吐息の水蒸気で充満された状態で、肌の水分も必要以上に蒸発しやすくなり、乾燥しやすい肌質にさせてしまいます」と河合先生はいいます。更に、マスクが接触するパーツは、皮脂が吸着されることで肌の油分が失われてしまう恐れもあるそう。肌に荒れやニキビなどのトラブルが生じてない場合は、しっかりではなく適度な洗顔を行い、水分と油分をしっかりと補うことを心がけましょう。加えて、マスクを着用することで生じてしまう、刺激に強い肌を育むために「バリア機能を高めることが重要」と津田先生。「蒸れによる影響だけでなく、マスクやゴムの当たる部分の摩擦や刺激がかぶれやニキビを誘発させます。刺激から肌を守り、バリアアップできる毎日のスキンケアは、極めて大切」と続けます。肌を清潔に保つことを心掛け、水分と油分を与えながらバリア機能を高めること。いつにも増して、自身の肌をしっかり確認することも肝要といえそうです。

4 マスクを着用する前のメイクアップの注意点は?

 マスクの内部は熱が篭りやすく、蒸れやすい。その一方で肌を乾燥させやすくする環境でもあります。当然、メーキャップは崩れやすくなります。その上で、2人の先生とも軽いメイクを勧めます。津田先生は、「素肌感のあるくらいがよいでしょう。ニキビなどがある場合はノンコメドジェニック処方のものを選んで」、河合先生は、「皮脂や汗で崩れにくいものを選ぶか、保湿力の高いベースメイクはパウダーを乗せる程度で仕上げて」といいます。マスクを着用すれば、顔の半分ほどは隠れてしまいますが、ノーメイクではあまりに頼りなくて不安。これから夏に向かって強さを増し続ける紫外線も気になります。パウダーファンデーションだけで軽く化粧直しができるくらいの軽いメイクを行いましょう。もしも鼻と頬や、ゴムの当たる耳元が赤くなった場合には、「摩擦を軽減させるために保湿クリームやワセリンを部分的に塗るのがよいですね」(河合先生)

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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