「アンリアレイジ」森永邦彦デザイナーがパリ・コレクションにかける思いとは?

インタビュー

2014/8/27 (WED) 11:50

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 東京を拠点に10年間ブランドを続け、コンセプチュアルなショーで話題を呼んできた「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が2015年春夏シーズン、パリ・コレクションにデビューする。公式スケジュール内で、9月23日17時(現地時間)に発表予定だ。演出は金子繋孝、ヘアメイクは加茂克也が従来通りに担当。新たに映像演出として「ライゾマティクス(RHIZOMATIKS)」の真鍋大度が加わる。さらに、パルコのスポンサードにより、9月22日~10月2日にレクレルール セヴィニエ店で、過去にパルコで行なった展覧会「ア リアル アン リアル エイジ」も開催する。今回のパリ進出に当たっては、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「カラー(KOLOR)」などの海外進出を担ってきた大塚博美をコーディネーターに、現地PRは「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」などを手掛ける「ピーアール コンサルティング」のナタリー・ウルス、セールスは「アンダーカバー」などを10年ほど扱ってきた「ノー シーズン」のクリスティーヌ・マッザの協力を得る形だ。初のパリ・コレクションに挑む森永邦彦デザイナーに、現在の心境を聞いた。

【アンリアレイジ 2014-15年秋冬東京・コレクション 全ルック】

パリへの売り込みや公式スケジュール枠を確保するまでの経緯


【画像クリック】「アンリアレイジ」2013年春夏コレクション 全ルック【画像クリック】 「アンリアレイジ」2013年春夏コレクション 全ルック

WWDジャパン(以下、WWD):パリでのコレクション発表を考え始めたのはいつ頃から?

森永邦彦「アンリアレイジ」デザイナー(以下、森永):ブランドを始めた時から、いつかパリでコレクションを発表したいと思っていたが、まずは東京で10年続けることが目標にしてきた。昨年、BONEをテーマにした2013年春夏コレクションで、目標にしていた一つの区切りを迎えてから、本気で考えるようになった。同じタイミングで海外の卸し先が少しずつ増えた。同じ時期にファッションコーディネーターの大塚博美さんと知り合い、パリに行きたいと相談させてもらった。今年になって、レーザーカットや3Dプリンター、色が変わるものなど、新しい技術を使ったものを中心にこれまでのコレクションを持ち込んで、自らパリのショールームを周り始めた。「ピーアール コンサルティング」のナタリーや「ノー シーズン」のクリスティーヌとも出会えた。さらにレクレルールから展覧会の話をもらうなど、良いタイミングでいろいろな要因が重なり、パリでの発表を決意した。

WWD:ショー発表の場として、パリを選んだ理由は?

森永:しっかりとブランドを根付かせるには一番歴史のあるパリで発表するのが良いと思った。若手の新人ブランドとして扱われることがあるが、ポジションを築き、モードの世界にしっかりと根付かせていきたい。ずっと憧れてきた「コム デ ギャルソン」と「アンダーカバー」が発表している場であるということも影響している。

WWD:数あるショールームから「ピーアールコンサルティング」と「ノーシーズン」を選んだ決め手は?

森永:PR会社とセールスを任せるショールームについては、それぞれ、5、6社回ったが、どこもブランドのことを知っていてくれて、ぜひ扱いたいと言ってもらえた。この2社に決めた一番の理由は、ブランドに対しての理解と熱意があったから。自分たちの目指しているところに近いと思えた。現実的な面でハードルが高かった、契約料や月々のPR料なども含め、僕らの提案に条件を近付けてくれたのも後押しになった。

WWD:初参加でどのように公式スケジュール枠を確保したか?

森永:「ピーアール コンサルティング」に推薦してもらい、パリ・コレの主催者であるサンディカの担当者と会った。当初は「初参加ブランドは非公式スケジュールで発表するのが定例だ」と言われたが、今までの東京での活動を評価してくれて、公式スケジュールに加わることになった。担当者には、象徴的なシーズンの洋服や映像を見せるなど、プレゼンテーション行なったが、多くのショーが分刻みで行なわれる中で、好きな日に好きな会場でショーを開催できないことなど、東京とパリの違いを実感した。

WWD:ショーの資金はどこから?

森永:「アンリアレイジ」の売り上げがメインだが、パルコやモリリンにショーの一部をサポートしてもらう。レセプションでは日本酒の「獺祭」にも協賛してもらう。

WWD:海外の主要卸先は?

森永:主要卸先は、パリのレクレルールと香港のI.T、ニューヨークとロサンゼルスのオープニングセレモニー、シンガポールとタイのクラブ21、北京のドーバーストリートマーケット、ロシアのエアー、上海のグロッシーなど9社が中心だ。特にレクレルールでは、10月に別注ラインを発売することも決定している。アイテムには、レクレルールの目をモチーフにしたロゴの瞳の部分を「アンリアレイジ」のロゴに変えたオリジナルタグが付く。「アンリアレイジ」のポップアップショップなどを企画してくれたことがあるI.Tのバイヤーは、パリに進出することをとても喜んでくれている。

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次のコレクションの構想や今後の意気込み

WWD:パリでのファースト・コレクションの構想は?

森永:ネタバレするのであまり詳細は言えないが……(笑)。新しい技術を採用するブランドとしてのスタンスはこれまで通り変えずに、ほかには作れない独自の服を発表したい。「アンリアレイジ」のコレクションは日本の先端技術があるからこそ成り立っているが、洋服は「これが着たい」とか「美しい」と感じて買うものだと思っている。「こんな機能がついているから買おう」と思う人は少ないので、機能がその服の美しさをより引き立てていたり、技術自体に美しさを見出した落とし込みをしていきたい。現在、最先端テクノロジーは僕らとまったく関係がないと感じるくらいリアリティのないものになっているが、もっと身近に受け入れられる日は近いと思うし、テクノロジーとファッションを近づけて、現代の価値観で提案することが僕らの責任だと感じている。東京でもここまでくるのに時間がかかった。パリでも今できる範囲で、確実にショーを発表したい。さらに「アンリアレイジ」特別監修号の「スイッチ」(スイッチ・パブリッシング刊)を9月20日に発売するなど、パリでのコレクション前後に色々なトピックスを用意している。

WWD:森永さんにとってファッションショーとは?

森永:展示会は洋服を手に取って見てもらえる場だと位置付けているが、ランウェイはブランドの世界観やスタンスをわかりやすく伝える場。ショーでは空気感や世界観など、目に見えないものこそ伝えるべき。東京でも後日、何らかの形での発表を考えている。

WWD:最後にパリ・コレクションにかける意気込みは?

森永:これまで東京をベースに活動し、少しずつコツコツと大きくなってきたが、産業としてもっと大きくていきたいという気持ちがある。そのためにはさらに大きな次のステージにいく必要がある。「アンダーカバー」も「コム デ ギャルソン」も憧れのブランドだが、パリに行ってしまったことが少し寂しい。いつか東京に戻ってきて、またショーを開催してほしいと思うし、自分たちも、時間はかかるかもしれないけれども、いつか「アンリアレイジ」が海外で注目されるような存在になったら、熱を持ってまた戻ってきて、東京に人を集めるようなことをしたい。

【レポート】「アンリアレイジ」2015年春夏パリ 実験的な仕掛けを用意して臨んだパリデビュー その評価は?

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