1. スニーカー芸人随一の情報屋、グッドウォーキン上田 「“何を履くか”よりも“どう履くか”」

スニーカー芸人随一の情報屋、グッドウォーキン上田 「“何を履くか”よりも“どう履くか”」

インタビュー

2019/2/1 (FRI) 11:00
上田歩武:1980年11月12日生まれ。滋賀県彦根市出身。20歳で大阪NSCに入学(23期生)後、コンビ、ピン芸人を経て現在はグッド良平。と共にグッドウォーキンを結成。スニーカー芸人の他に刺しゅう芸人としての顔も持ち、「コンバース」とコラボするなど、お笑い芸人の枠を超えた活躍を見せる PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

今や「アメトーーク!」(テレビ朝日)で「スニーカー芸人」(2018年11月15日)が放送されるほど、世間に浸透してきた“スニーカー芸人”。その「スニーカー芸人」にも出演し、圧倒的な知識量から他の出演者に頼られ、放送後インスタグラムのフォロワーが4倍になったのが、お笑い芸人グッドウォーキンの上田歩武だ。「吉本の社員さんよりも、ファッション業界の方々の方が僕のことを知っていると思います」と、スニーカー芸人の他に刺しゅう芸人としてファッション業界でも活躍する上田に、スニーカー愛はもちろん、転売市場から流行のその先、お気入りのスニーカーを聞いた。

WWD:スニーカーを好きになったきっかけを教えてください。

上田:25年前の中学生のとき、「SLAM DUNK」(1990〜96年)が流行り、バルセロナオリンピック(92年)が開催され(編集部注:同大会は、バスケ大国・アメリカが威信をかけ、NBA選手の参加を初めて認めたことから世界中がバスケに注目していた)、“エア マックス 95(AIR MAX 95)”のブームがあり、好きになるのは自然な流れでした。それに生活の大半が制服なんで、靴と鞄でおしゃれをアピールしなきゃいけなかったのも大きいです。でも住んでた町には専門店なんてなく、あってもスポーツ量販店。古着屋は1軒しかなくて、シンプルにスニーカーが手に入りにくい環境でした。古着屋に並ぶ“ジョーダン”を憧れて見る少年時代でしたね。サッカー部のくせにバッシュが気になるからって「月刊バスケットボール」を読みまくったり、藤原ヒロシさん、NIGO(R)さん、高橋盾さんの「ASAYAN」での連載を穴があくほど読んでたりしたのはいい思い出です(笑)。

WWD:初めて買ったスニーカーは?

上田:「アディダス(ADIDAS)」の“スーパースター(SUPERSTAR)”です。雑誌で見ていたフランス製の少し黄ばんでいるモデルが欲しかったんですが、金銭的にも物理的にも手に入れることができず、現行モデルを買いました。でもやっぱり憧れて、サッカーするときに履いたり日焼けさせたりして黄ばみを表現しようと努力したんですが、洗うとキレイになってしまう葛藤でした……。集め始めたのは“エア ジョーダン”シリーズで、友達のお兄ちゃんから履けないくらいボロボロの“エア ジョーダン 6”を5000円で買ったりしてましたね。

「アディダス オリジナルス」の高級ライン「アディダス コンソーシアム」が、2014年に復刻したフランス製の“スーパースター”。フランスの工場アトリエ・エシュンと連携し制作された

WWD:現在の足数(あしかず)は?

上田:100足くらいで、実はそんなに持っていないんです。とにかく場所をとるので箱で積んでます。

自室に山積みされたスニーカー

WWD:購入はどのくらいのペースで?

上田:具体的に言うのが難しいですが、買ってない月もあるくらいですね。毎週のように発売されているので、欲しいものを全て手に入れようとするとお金が追いつかず……もちろん情報としては仕入れます。購入方法は時と場合によりますが、過去には「お腹が痛い」ってバイトを早退して並んだこともあります。最低ですよね(笑)。

PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

WWD:ハイテクやローテクなど、好きなジャンルがあれば。

上田:「あのスニーカーが嫌い」みたいなのはなくて、オールジャンルいけます。ただ、ファッションのルーツが裏原とグランジロックってアメカジ寄りなので、持ってるものとしてはローテクの方が多いですね。

WWD:ロック好きでありながら、スニーカー好きは珍しいですね。

上田:それがあったからオールジャンルいける雑食になったんだと思います。「アメトーーク!」の「スニーカー芸人」では言えなかったんですけど、収録中に履いていた「スプリングコート(SPRING COURT)」は、ジョン・レノン(John Lennon)が「Abbey Road」のジャケットで履いていたモデルなんです。「誰か気付いてくれ……!」って思いながら収録に臨んで、放送後のツイッターを見てました。

READ MORE 1 / 3 「知名度の低い僕だからこそ武器は“知識と情熱”」

(c) テレビ朝日

WWD:「スニーカー芸人」ではひな壇後方にいながら、圧倒的な知識量から他の出演者の方々に頼られるシーンが多く見られましたが、やはり一番詳しいのでしょうか?

上田:自分で言うのもアレですけど、多分そうだと思います。僕はあまりTVに出ていないので芸能人という感覚は彼らよりないし、発言力も説得力もない。その中で知名度の低い僕がどうやったら戦えるかって、知識と情熱なんですよ。例えば何時間も並んで買うのは、知名度的にも時間的にも他の出演者の方たちだと難しと思いますが、僕ならできる(笑)。知識と情熱を武器に戦ってやる!って意気込んでましたね。そうは言っても、いざ始まると単純に面白かったです。他の番組では自己紹介で「“エア プレスト”(2000年発売)と同期です」なんて言えないですし、人生で初めて言いました(笑)。

WWD:出演者の方々が、みなさんハイブランドのスニーカーを履いていなかったのが印象的でした。

上田:僕も「メゾン マルジェラ」のジャーマントレーナーくらいしか持っていませんし、スニーカー好きにとって“ファッション的すぎる”んだと思います。以前、スニーカー関連のイベントでお気に入りのスニーカーを持っていく企画があったんですけど、「マルジェラ」のジャーマントレーナー持って行ったらめちゃくちゃスベりましたし(笑)。

でもハイブランドがスニーカーを発表すること自体は楽しみです。「ディオール」のキム・ジョーンズ(Kim Jones)のようにストリートに影響を受けていた人たちが偉くなったことで、ハイブランドが90年代やストリートに寄ったんだと思います。今はダッドスニーカーばかりですが、その中でキム・ジョーンズは「コンバース」の“オールスター”みたいなモデルを発表してたり、次がどうなるのか想像できません。このハイブランドの流れとは逆に、今のストリートがどうなっていくかも気になっています。

PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

WWD:今日は「オフ-ホワイト」と「ナイキ」の“ヴェイパーマックス(VAPORMAX)”を履かれていますが、インダストリアルタグを外していますね。

上田:なんかいかにも履いてます感が出ちゃって……恥ずかしくて取りました(笑)。あと紐を通してないのと、今っぽくスキニーやトラックパンツに合わせるんじゃなく、太めの軍パンを合わせているのがこだわりです。“人と違うモノを履きたい・着たい・したい”のこじらせですね。そういうミスマッチ感が好きで、藤原ヒロシさんが「エルメス」のダッフルコートにボロボロの「リーバイス」の“501”をはいてたことがあったんですが、それがたまらなくて、先のジャーマントレーナーにジャージーを合わせたりしてました。

WWD:“人と違うモノを”は、スニーカーブームのレア物を狙う人と同じような心境ですね。

上田:そうなんですが、僕はさらにそれを「みんな人気モデルを欲しがるなら人気のないモデルを買おう」みたいに斜めから見ることが多くて、最近だと「アディダス」の“サンバ(SAMBA)”がそれに当たります。

READ MORE 2 / 3 「転売対策には“情熱買い”提案したい」

PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

WWD:レア物といえば“転売問題”がついて回りますが、どう見ていますか?

上田:昔からフリマでは元値の倍以上で売られていたように、転売自体はずっとあったことで、ネットやSNSの発達で明るみに出ただけなんですよね。一概に容認するわけではないですけど、“転売されてない”ものって、誰も求めてないから“売れてない”ってこと。僕自身も定価で買えなくて悔しながらもプレ値で買った経験もありますし、残念ながら転売と人気は表と裏の関係で仕方がないことなんです。だからこそ「プレ値で買えるくらい稼いでやろう」って、悪を倒すにはより凶悪になるしかないと思ってるところはあります(笑)。あと、二次流通市場を“全員のECサイト”って考えるようになってから気が楽にはなりました。昔だったら雑誌から取り扱い店舗を調べて電話して在庫を確認してって、1つ買うのも大変な作業量でしたけど、「あ、これ欲しい。買おう」みたいに簡単に探して買えるので。

対策は各ブランドさんやショップさんが試行錯誤し、SNSでの拡散だったりドレスコードを設けたりしていますが、僕は欲しい気持ちを400文字の作文にするような“情熱買い”を面白いので提案したいですね。ダサくても、田舎から来ても、ドレスコードを満たしてなくても、書いて情熱が伝われば買える。売る側もそんな人たちに履いてほしいと思います。でもこれをやったら代筆屋が生まれるだろうし……いたちごっこですね。

PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

WWD:レア物の多くはコラボモデルで、最近はコラボが乱発されていますが。

上田:僕はむしろウェルカムのスタンスです。ただ、僕は「ナイキ」と「アディダス」の“夢のタッグ”が見たいんです。「ドラゴンボール」の終盤、ライバル同士の悟空とベジータが手を組んだのはなぜか。それは超強力な魔人ブウが現れたから。裏を返せば魔人ブウがいたから手を組んだ。魔人ブウのように「ナイキ」と「アディダス」を脅かすようなブランドが出てきたら手を組むのかなって、大人の事情を抜きに思います(笑)。

READ MORE 3 / 3 「“何を履くか”よりも“どう履くか”が大事」

PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

WWD:本日はお気に入りの3足のスニーカーを持ってきていただきました。上田さん的視点でそれぞれについて語っていただければと思います。

中学校の頃の思い出も詰まった一足で、ランDMC(Run-D.M.C.)のイメージが強いですが、まず名前がかっこいいですよね。「あ、僕天才です」って言ってるようなもの。でも自らハードルを上げるだけある。デニムや古着にも合わせやすいところが気に入っています。本当はフランス製にこだわりたいんですけど、欲しいスニーカーの中でも優先順位があって、“スーパースター”はいつでも買える感があるのでずっと先延ばしにしてしまい……。それでも欲しい気持ちは変わらないので現行モデルを買いました(笑)。

90年代の裏原をけん引したお二方による、僕らの世代には本当にグッとくるモデルで、履き口の切りっぱなしのようなディテールだったり、トゥ部分の“UNDERCOVER”の文字だったりが最高ですね。ここで小話を1つ。高校生のときの修学旅行が東京だったんですけど、裏原に行くことは決めていたものの、裏原に洋服を買いに行くための洋服がなかったんです。そこで上田青年は何を思ったのか、修学旅行の1カ月前に東京に行くための洋服を買いに東京に行ったんです(笑)。しかも似合いもしない服を買ってしまいました……。

他の2足が過去を振り返るものなので、現代の1足として紹介したいモデルです。すでに感度が高い人は「ホカ オネオネ」を履いていますが、知らない人にこそ知ってほしいという思いを込めて選びました。とにかく履いたときのクッション性がえぐいです、布団です。ぜひ履いてみてください。

PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

WWD:スニーカー好きにはコレクターも多いですが、上田さんは履きこまれるんですね。

上田:スニーカーはあくまでもファッションの一部で、「このスニーカーを履いたら何を合わせよう」って“何を履いてるか”よりも“どう履いてるか”を大事にしています。かっこいいけど僕には似合わないと思うスニーカーは買わないーー“エア ジョーダン 11”とかがそうですね。

WWD:スニーカー芸人としての今後は?

上田:ニッチな人から初心者まで、経歴なんて関係なしにスニーカーが好きな人たちと思いを共感したいので、地方にまで足を伸ばしてライブをやりたいですね。あとはファッション系のイベントに出演したいです。ファッション業界の方々の方が知識は深いかもしれませんが、われわれスニーカー芸人はそれを面白く伝えることができる。芸人なので!

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