1. スクランブル交差点を眼前に、西武渋谷店は“渋谷再開発”をどう見ているのか

スクランブル交差点を眼前に、西武渋谷店は“渋谷再開発”をどう見ているのか

企業動向 インタビュー

2019/1/21 (MON) 05:00
赤羽功次 ・西武渋谷店店長:1958年生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、1981年に西武百貨店に入社。西武渋谷店 販売促進部長や西武沼津店 店長、そごう・西武 商品部 婦人雑貨部長などを経て、2015年3月にそごう・西武 執行役員 営業企画室 シニアオフィサーに就任。18年9月から西武渋谷店店長を務める

 渋谷駅周辺の大規模再開発がその全貌を見せ始めた。駅直結の巨大なタワーが出現する一方、2019年には建て替え開業の渋谷パルコ、三井不動産による宮下公園の再開発など、大型商業施設の開業を控える。長くこの地に館を構える西武渋谷店の赤羽功次・店長は渋谷をどう見ているのか。

WWD:今年の秋に大型商業施設のオープンを控える渋谷だが、これまでのところ影響は?

赤羽店長(以下、赤羽):変わらないのは外商ビジネスだ。ただ、従来のわれわれの顧客である城南地区(港区や目黒区などのエリア)にお住いの富裕層に加えて、10年前くらいからIT企業の富裕層が増えた。再開発によってさらにIT企業が渋谷に増えるので、さらなるビジネスチャンスだととらえている。一方で、来館客でここ数年で目に見えて増えたのは外国人旅行客だ。特に欧米やアジア圏の方が多く、観光名所となっているスクランブル交差点に近い百貨店ということで来店する方はかなり増えている。インバウンド比率は全体の9%ほどになる。

WWD:「無印良品」が入るモヴィーダ館が面する公園通りについては?

赤羽:16年8月の建て替えのための渋谷パルコ閉店時には、その前後の渋谷区役所と渋谷公会堂の建て替えのための一時閉鎖も重なったことで、公園通りの人通りは減った。西武渋谷店の来館客数自体にはそれほど影響を受けているわけではないが、街全体でも来街者が減ったと感じている。

WWD:この秋以降、渋谷の街はどう変化すると考えるか。

赤羽:渋谷駅周辺の再開発の中心は駅直結、あるいは西武渋谷店や渋谷パルコのある公園通りエリアとは駅を挟んで反対側の国道246号側だ。エリアで消費のターゲットやテイストが変わる可能性はある。

WWD:そんな中で、公園通りと西武渋谷店の位置付けとは?

赤羽:かつての西武渋谷店にはインキュベーション機能があって、若手クリエイターとともに成長してきたという背景があり、その点は変わらないだろう。

WWD:新しくできる商業施設のうち、影響を受けそうな部分は?

赤羽:新生・渋谷パルコとは、リニューアル前よりもデザイナーブランドのラインアップなどMDの部分で重なる部分が増えそうだ。全く影響がないとは思っていないが、ルーツは同じセゾン系ということもあり、根幹の思想的なところでは近い部分もあり、むしろ公園通りの活性化につながるだろうとポジティブに感じている。

WWD:渋谷パルコとの協業もありうる?

赤羽:今はグループが違うので、共同プロモーションなどは難しいだろう。ただ、エリア活性化のためのプロジェクトにわれわれとパルコさんも入っている、ということはあるかもしれない。個人的には今後の渋谷が面白くなりそうだと感じている。今年も渋谷区主導でLGBTに関する「東京レインボープライド」を開催するが、地域が一丸となって街全体を盛り上げたいと思っている。

渋谷再開発で店頭はどう変わる?

WWD:西武渋谷店のMDに変更はあるか?

赤羽:2017年に「ブラック・コム デ ギャルソン(BLACK COMME DES GARCONS)」がオープンしたことで、外国人旅行客の来店が大幅に増えた。MDは順次細かく更新しているが、フロア構成などに大きな変更予定はない。西武渋谷店はラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの比率が高いが、今後どの商業施設もMDは似通ってくる。われわれはMDで差別化するのではなく、それ以外の部分の仕掛けで差別化を図る。

WWD:MD以外の仕掛けとは?

赤羽:例えば“Art meets Life”をテーマに全館でプロモーションをやってきたが、ここ数年少し訴求が弱かったかなと感じている。今年はあらためて若手アーティストをフィーチャーした企画を出していこうと思っていて、まずは2月後半に第1弾としてアーティストの三鑰(みかぎ)彩音さんを起用する。秋以降の大型商業施設のオープンが続く時期に向けて、渋谷西武のあり方を打ち出していきたいわけだ。

WWD:渋谷は“若者の街”といわれるが、若年層に対して、どういう百貨店でありたいか。

赤羽:単にミレニアル世代が望むものを置けばいいということではない。若者文化と“時代に先駆けた”文化は違うもので、渋谷はつねに時代に先駆けたものが表出する街。実際にミレニアル世代の社員を集めた意見交換会を開くなどして、ヒントはつねに探している。特に渋谷は新しいものが世の中に出ていく情報発信の街である一方で、廃れていくのも早い。「兆しが表れる街」だ。こうした文化を早く汲み取って、ミレニアル世代に寄り添っていきたい。

WWD:2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」というタイミングは?

赤羽:すでに特徴にもなりつつある“インターナショナル化”が進むだろう。それは、海外の人が来るということだけではなく、渋谷を訪れる日本人もインターナショナルな考えを持った人が増えるということ。そうなると、いわゆるファッションという軸だけで洋服を販売することには限界があると思っている。よくモノ消費・コト消費というが、私は“行動消費”が重要だと考えている。行動することで消費が生まれるという意味だ。「若者がターゲット」なのではなく、シニア層でもアクティブな人はいるわけで、彼らは大切な顧客となる。重要なのは世代ではない。

WWD:最後に、渋谷の街を一言で表すならば、どんなキーワードがあげられる?

赤羽:先進性、情報発信だろうか。もともと西武渋谷店は“情報発信基地”だと言ってきたが、渋谷に集まる情報を西武渋谷店が代表して発信していくということ。まさに“基地”だ。渋谷には基地となる商業施設がいくつもあって、それらが集まることで情報発信する街・渋谷が成り立っていると思う。

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