ファッション

バルテュスの娘のジュエリーデザイナーに聞く 影響を受けたのは「サンローラン」ミューズの義姉

 スイス人画家バルテュス(Balthus)の娘でジュエリーデザイナーの春美クロソフスカ・ド・ローラ(Harumi Klossowski de Rola)が、来年2月に京都造形芸術大学の外苑キャンパスで開催される「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」主催の“レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校(以下、レコール)”で自身の新作ジュエリーを展示する。彼女は、「ブシュロン(BOUCHERON)」や「ショパール(CHOPARD)」などヨーロッパのハイジュエラーとコラボレーションする他、自身でもクリエイションを行っているが、日本で自身のコレクションが大々的に展示されるのは初めてのこと。“レコール”の開催イベントで来日したド・ローラに、話を聞いた。

WWD:ジュエリーデザイナーになったきっかけは?

春美クロソフスカ・ド・ローラ(以下、ド・ローラ):異母兄だったタデ(Thadee Klossovski)の妻だったルル・ドラ・ファレーズ(Lulu de la Faraise)に憧れていました。彼女はイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)のミューズでモデルだった人。私が子どもの頃に、彼女がアフガニスタン製のカフを着けていたのを見て、それがずっと印象に残っています。彼女のジュエリーやファッションのセンスはもちろんのこと、人としてもとても魅力的で素晴らしい人でした。7歳の頃、父の画商だったクロード・ベルナール(Claude Bernard)のパリのギャラリーに行くと、ちょうど私の目線と同じ高さのテーブル上にクリスタルやルビーやエメラルドなどの石が並べられていて、何時間も眺めていたのを覚えてます。まるで夢の中で宝石の森を歩いている気持ちで、ジュエリーは石の魔法の世界そのものだと思いました。だから、石に対してものすごく情熱を持っています。

WWD:いろいろなブランドとコラボレーションしているようだが?

ド・ローラ:約10年前に「ヴァンドーム青山(VENDOME AOYAMA)」とコラボしたことがあります。石を中国の生地とミックスした花がモチーフの限定ジュエリーを作りました。同時期に創業150周年を迎えた「ブシュロン(BOUCHERON)」から依頼されてジュエリーをデザインしたこともあります。それまでは彫金をしたことがなかったから、「ブシュロン」でいろいろと学びました。「ショパール(CHOPARD)」ともよくコラボレーションするから、彼らから学ぶことも多いです。私自身のコレクションは木の化石やゴールドなど素材をミックスしてデザインします。ロンドンのドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)やチューリッヒにあるセレクトショップの3つのリンゴ(TROIS POMMES)などで販売しています。イタリアの職人と作る一点物で価格は2万~8万ユーロ程度(約256万~1024万円)程度です。

WWD:インスピレーション源はどこから?

ド・ローラ:自然や動物から。今はスマートフォンで何でもできる時代でしょう。未来を作る世代がすっかり自然から切り離されているのは、とても不幸なこと。家では、子供らが食事中にスマートフォンを見たらペナルティーを払うという決まりにしています。自然と人がつながる間にいるのが動物。人間は動物と共存するべきだと思います。

WWD:クリエイションの醍醐味と大変なことは?

ド・ローラ:作品のアイデアをキープするのは大変。どうすれば、このアイデアを作品にできるか、よく職人に相談します。職人技への理解を深めるために彫刻のレッスンを受けることもあります。醍醐味は、完全に私自身の世界に没頭できる点。夢を見ているようなもので、現実にはありえないものを考え付いたり……。それが作品として出来上がったのを見るのは最高の気分です。

WWD:ジュエリーのモチーフで好きな物は?

ド・ローラ:初めて作ったのがプーマの頭のジュエリーでした。ネコ好きの父譲りで、私ネコ科の動物が好きみたい。

WWD:ファッション・ブランドともコラボレーションを行っているようだが?

ド・ローラ:「ヴァレンティノ(VALENTINO)」とはオートクチュールのバッグでコラボしたわ。ヘビをモチーフにしたり、動物をモチーフにしたバッグをデザインしたりしたことがあります。

WWD:今回“レコール”で新作を発表する感想は?

ド=ローラ:「ヴァン クリーフ&アーペル」からのすばらしい贈り物だと感じている。とても幸せよ。フランスやイタリアの職人技を引き継ぐのは大変なこと。このようなクリエイションの機会を与えられるのは最高のこだと思います。

WWD:日本についてどう思うか?

ド・ローラ:日本は大好き。日本で息子と娘の七五三を祝ったこともあるくらい。母(節子クロソフスカ・ド・ローラ)からはわびさびのようなものを学んだわ。京都の寺院の庭や日本特有のふすまなど、あらゆるディテールに引かれます。

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