1. HYDE主宰「ハロウィン パーティー2018」の衣装を手掛けたデザイナーが明かす制作秘話

HYDE主宰「ハロウィン パーティー2018」の衣装を手掛けたデザイナーが明かす制作秘話

イベント インタビュー

2018/11/9 (FRI) 12:00
廣岡直人「エイチ ナオト」デザイナー:1977年神戸生まれ。文化服装学院卒業後に99年に株式会社シンクに入社、2000年に「エイチ ナオト」としてブランドデビュー。パンクという思想に共鳴し、ゴスロリ、パンク、アニメ、ゲーム、ビジュアル系など、日本特有のカルチャーをファッションに取り込み、独自のファッション観を展開。多くのアーティストへ衣装提供を行い、それらのアーティストやアニメ、漫画、ゲームをはじめとするコンテンツとのコラボレーションアイテムも手掛ける

 前身のイベントを含めると2008年から毎年ハロウィンシーズンに開催しているHYDE主宰のライブイベント「ハロウィン パーティー2018 サポーテッド バイ エックスフラッグ(HALLOWEEN PARTY 2018 SUPPORTED BY XFLAG以下、ハロパ)」は、出演者はもちろん来場者やスタッフにも仮装の“ドレスコード”を設けている。毎年クオリティーの高い衣装が話題となる同イベントにおいて、観客が最も楽しみにしているのがHYDEの仮装だ。

 今年も10月26~28日の3日間にわたって幕張メッセ国際展示場9~11ホールを会場に、「不思議の国のアリス」の世界観をテーマにHYDEは計6着の衣装を披露。衣装替えをするたびに客席からは大きな歓声が上がった。HYDEの衣装を手掛けたのは廣岡直人「エイチ ナオト(H.NAOTO)」デザイナーだ。自身のブランドの服作りと並行して5日で仕上げたという衣装制作の裏側や仕事に対する廣岡デザイナーの考え方を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):「ハロパ」の衣装を手掛けるようになったきっかけは?

廣岡直人「エイチ ナオト」デザイナー(以下、廣岡):HYDEさんが12年に発売したHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAのミュージックビデオ(MV)で出演者の衣装を一部担当したのがきっかけです。そのころの「エイチ ナオト」は一時期のブームが去り元気がなくて、こういうことをあまり言ったことがないですけど、「何でもいいからやらせてもらえないか」とHYDEさんに相談したら、MVを手掛けた二階健・監督から衣装制作の依頼がありました。その後に、その年の「ハロパ」用の衣装を作ってもらえないかとHYDEさんから連絡をいただきました。

WWD:今年の「ハロパ」では何着作った?

廣岡:HYDEさんで6パターン。その他にもDIR EN GREYのShinyaさんやゴールデンボンバーの喜矢武豊さんといった方々の衣装も手掛けました。最終的には違う衣装になったけど、X JAPANのYoshikiさんにはドレスを6点ほどお貸ししました。

WWD:今年はHYDEの衣装の数が例年と比べて多かった印象だ。

廣岡:「HYDEさん、今年攻めてますね!」って言いました(笑)。あと、今回は早着替えをやったのが特徴ですね。L’Arc〜en〜Ciel(以下、ラルク)の25周年記念ライブのHYDEさんの衣装を担当させてもらったときも早着替えをすることになったんです。ラルクのライブでは普段、あまりそういうことしないそうですが、そのときは4回着替えました。ファンの皆さまに驚きを与えて喜ばせたいという、HYDEさんのファンを大切に思う気持ちの表れだと思います。

WWD:ラルクのライブ衣装と「ハロパ」の仮装では着替えにかかる手間や時間が大きく変わってきそうだ。

廣岡:全く違いますね。今年の「ハロパ」の話になったときに「着替えを5分でできない?」と聞かれて、「できます」と答えたんですが、後から「メイクもやらないといけないから1分で着替えられない?」って言われて(笑)。 HYDEさん自身も毎年挑戦してるなと思いました。

WWD:衣装制作にかかった期間は?

廣岡:材料集めなどいろいろと準備はしていましたけど、制作自体は5日くらいです。最終日の着替え直前まで調整していました。

WWD:どんな仮装にするかはそれより前に決まっていた?

廣岡:HYDEさんが10月24日に発売した最新シングル「FAKE DIVINE」のMVが「不思議の国のアリス」の世界観で、「ハロパ」も同じ世界観にするとは聞いていました。HYDEさんは「ハロパ」の前の週までライブハウスツアーに出ていたので、それが終わってから演出などが本格的に決まりだしました。

WWD:HYDEとどんな話をして決めていく?

廣岡:「何やります?」「何がいいかな?」みたいな(笑)。イメージ提案をしましたが、その段階ではまだアリスの世界観になると知らなかったから、ほぼ全却下でした(笑)。

WWD:HYDEはどんな人?

廣岡:「ハロパ」みたいなちょっとダークな世界観が大好きなんじゃないかな?と。パンクイメージの服を作っていた僕がゴシック系の服を作り始めたのはHYDEさんの影響で、悪魔とか天使とかの世界観は彼から教えてもらいました。HYDEさんが悪魔の本を貸してくれて、ああ、こういう宗教的な世界があるんだなと思いました。彼は今では“キング・オブ・ハロウィン”みたいなポジションにいるので、彼の衣装を担当できるのはすごくうれしいです。

HYDEの衣装を手掛けることで学ぶこととは

WWD:最もこだわった衣装とそのポイントは?

廣岡:最終日の赤の女王の衣装ですね。バランスが難しく、ボリューム感もあり、ライブだから動いても服がズレ落ちないかを一番気にしました。ステージに上がってしまうと直せないですし。その一方で、早着替えがあるから着脱も簡単にしないといけない。あと、軽さにもこだわっています。最終日はボリュームがあるドレスが2パターンなので、重かったり暑かったりすると、演者としてはやっぱりしんどいんですよね。それを考えると軽くて動きやすくて見栄えする衣装が一番いい。

WWD:赤の女王の衣装は背中が空いていて、HYDEの羽のタトゥーがちらっと見えるデザインになっていた。これはファンからは大好評だったようだが、狙ってこのデザインにした?

廣岡:最初から狙っていたわけじゃないけど、「あ、見えるやん」みたいな(笑)。だったらもっと出しとこうと。

WWD:最も難しかった衣装は?

廣岡:早着替えと血が流れ出す演出を両立させないといけなかった白の女王の衣装ですね。白の女王の衣装は最初、流血の予定はなかったんですよ(笑)。だからサテンみたいな、ツルっとした素材で進めていたんですけど、血を流す演出が決まって、服に血のりが染み込まないといけなくて急遽素材を変更しました。

WWD:衣装の面白さは?

廣岡:何年か前の「ハロパ」で花魁風の衣装を作ったんですが、HYDEさんが花道を歩くだけでファンがめちゃくちゃ盛り上がってくれたんです。仕掛けたものに対して大きな反応があるとうれしくて、会場でエキサイトしているお客さんの表情を見ているだけで楽しかった。今年もHYDEさんの早着替えを含めて、ビックリさせられたから達成感が大きかったです。

WWD:衣装制作を本業にするという気持ちはある?

廣岡:それを本業にするというか、(既製服も衣装も)ミックスでいいんじゃないかと思っています。最近はヘアメイクの勉強もしています。これからは一つの職業じゃダメで、スタイリストもできて服も作れてヘアメイクもできるなら、それは新しい職業になるんじゃないかと考えています。

WWD:「エイチ ナオト」の既製服は毎週新作を出しているがその意図は?

廣岡:毎週どころか2日に1度くらい出しています(笑)。去年は毎日新作を出していました。みんながビックリするような量をやらないといけないと思っているんです。だから今回の「ハロパ」も全員分の衣装を引き受けるつもりでいました。自分を鍛えているんです(笑)。

WWD:キャリアは長いがまだ足りない?

廣岡:足りないですね。だからラルクの衣装のときも東京ドームのような大型のステージで服がどう見えて動けるかなどが分かるように経験を積んでいるところです。スタイリストになりたいわけではないけど、いろいろな場所でどんな風に服が見えるのかとかは知っていた方がいい。肩にキラキラした素材をちょっとでも入れた方がよかったなとか、カメラワークがどこを切り取るかなど――それは実際に着てもらわないと分からない。

WWD:休みがないのでは?

廣岡:最近はないですね。でも仕事が好きだし、僕も40歳だし、今一番がんばらないといけないと思っています。かつてはラフォーレの地下1階に入っていたようなブランドがどんどんなくなっていて、今後も減っていくと思います。だからじっとしていてはダメで、このジャンルではトップを取りたい。はたから見たら、「エイチ ナオト」なんて誰が着るの?となるかもしれないけど、こういう世界観が好きな人は本当にたくさん世界中にいます。だから“おしゃれ”や“トレンド”を打ち出すのではなくて、ダークファンタジーとかゴシックな世界観でかっこいい写真を撮って発信していけば、SNSが発達している現代なら何か引っかかってくるんじゃないかなと思っています。事実として、それがHYDEさんの衣装制作につながっていますし。最終的には映画界の鬼才ティム・バートン監督と一緒にハリウッドで映画の仕事ができたらいいですね。

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