ファッション

絶好調のLAブランド「アミリ」 “次世代のラグジュアリー”を目指す

 ロサンゼルス発のブランド「アミリ(AMIRI)」は現在、日本初となるポップアップストアをリステア(RESTIR)にオープン中だ。同時期に香港のセレクトショップ、ジョイス(JOYCE)やパリのボン・マルシェ(LE BON MARCHE)でもポップアップストアを開いている。2014年にクリエイティブ・ディレクターのマイク・アミリ(Mike Amiri)が設立した同ブランドはTシャツで4万円台、デニムで10万円~と比較的高価ながら、人気商品は即完売。多くの海外セレブを顧客に抱え、設立後わずか4年で世界の有力ショップ約130店舗で販売されるなど、規模を急速に拡大中だ。なぜ、「アミリ」はここまで成長できたのか?アミリ=クリエイティブ・ディレクターが人気の背景にあると語るブランドの“スピリット”と共にひも解く。

WWD:リステアでオープン中のポップアップストアのポイントは?

マイク・アミリ「アミリ」クリエイティブ・ディレクター(以下、アミリ):ショーのように、2018-19年秋冬コレクション全体の雰囲気を感じられることだ。コレクションの持つ神聖さ、ドラマティックさを内装で表現している。今は旗艦店がなく、卸先では即完売してしまう商品も多いため来店者に世界観を伝えづらかったが、空間全体を作りこむことでブランドのイメージをより明確に伝えることができる。

WWD:日本初のポップアップストアの場所にリステアを選んだ理由は?

アミリ:まずは、個人的にも好きなショップの一つだから。そしてもう一つは顧客を抱えていて、プライベートかつストーリーのある接客アプローチを行っているからだ。リステアの顧客は「ここでしか買えないもの」を求めており、「アミリ」のスペシャルなアイテムとの親和性が高いと考えている。

WWD: アイテムに“スペシャルさ”を出すためにこだわっていることは?

アミリ:Tシャツに本物のショットガンで弾を打ち込んでダメージ加工を行うなど、商品の多くはハンドメードにこだわっている。また、素材はイタリアや日本など、各アイテムに合う素材を調達してLAで生産をしている。一方で、そういったこだわりを露骨ではなく自然に見えるようにしている。LAのスケートボードやロックミュージックといったストリートのバックグラウンドを持ちつつ、ラグジュアリー・ブランドにも引けを取らない最高級の仕上げで商品を作っている。

高くても売れる理由は“スピリット”

WWD:高価格のアイテムも多いが、それでも売れている理由をどう分析する?

アミリ:素材やディテール、そしてブランドの“スピリット”を感じてくれているのだろう。リステアをはじめ、「アミリ」を取り扱うショップの顧客には他にはないものを求めている人が多い。高感度な人々のために、自分にしかできないことは何かを常に考えながらデザインしている。

WWD:「アミリ」の持つ“スピリット”とは?

アミリ:自分自身のスタイルがベースにあることと、オーセンティック(=本物)であること。この2つはブランドのアイデンティティーを確立する上でとても重要だ。現在はLAやアメリカのストーリーを自分らしく伝えることにも注力している。今回の秋冬のテーマにアメリカ映画の「ロストボーイ(LOST BOYS)」を選んだのもそのためだ。周りが取り上げないようなトピックをインスピレーション源に、ストーリーテリングなコレクションを作ろうと考えている。

WWD:日本初のポップアップストアに何を期待する?

アミリ:アメリカで急成長したブランドの次のステップとして、世界観を各国に広めていくのが目的だ。現在、日本の他に香港のセレクトショップ、ジョイス(JOYCE)やパリのボン・マルシェ(LE BON MARCHE)でもポップアップストアを開いている。インスタレーションのような空間で、ブランドの持つ“スピリット”を発信していきたい。

WWD:ポップアップストアを開催している3都市に共通する点は?

アミリ:各国からオファーが届く中、アメリカのマーケットのように成長させていける3都市を選んだ。アメリカではブランドの知名度は急速に上がってきており、どの有名店でも売り上げトップ3に「アミリ」が入っている。パリと香港、そして日本の3都市でも同じようにブランドを拡大させ、そこから各国に広げていくつもりだ。

WWD:ブランドとして、今後どのようにステップアップしていく?

アミリ:ブランド開始当初はトレンドや売れ筋を意識しない“ゼロ・マーケティング”の気持ちでスタートしたが、現在はマーケティングの要素を取り入れ始めている。今の若手ブランドは“ハイプ”重視、つまりマーケットを意識し過ぎているところが多く、結果的に商品の均質化につながっている。「アミリ」が他と異なるのは、ブランドのバックグラウンドを明確にした上でマーケティングの段階へと進んだこと。今後はさらに、販路を強化する。消費者に新たなショッピング経験やブランド価値を提供できる “次世代のラグジュアリー”を目指していきたい。

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