ビジネス

アシックス、反転攻勢へグローバルの体制変更

 アシックスは3日、今年2月に修正した中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP)2020」の具体的な行動計画となるアクションプランを策定した。

 AGP2020では、2020年度の連結売上高5000億円以上、営業利益率7%以上の目標を掲げている。「ただ、足元は非常に厳しい状況にあり、アクションプランは数値目標を必達するための施策」と、同社の廣田康人・社長COO(最高執行責任者)は決意を語った。

 具体的には今秋からプロダクトカテゴリーを基軸とした経営管理体制を始動する。これまでは製造機能を持つ本社と販社との間に距離があったが、マーケティング・企画開発から生産、販売まで一気通貫でつなぐことで経営の迅速化を図り、カテゴリーごとのグローバル推進体制を確立する。第1弾として、近年成長著しい「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」の組織を一本化。本社の事業部長が全世界の販売までを管理する体制に移行する。今秋準備を始め、本格稼働は来年1月からの予定。新体制への移行により、「オニツカタイガー」の業績目標は、2020年度の売上高550億円以上、営業利益80億円以上に変更した。将来的には売上高1000億円以上のブランドに育てる。

 重点項目としては「最重要市場である米国におけるパフォーマンスランニングの注力」と「中国市場での成長加速」「新たな成長ドライバーとなるデジタル事業の強化」を挙げる。

 ランニングシューズで売り上げを大きく伸ばしてきた米国市場だが、トレンド変化への対応の遅れやアマゾンの台頭などにより、15年以降業績が停滞。「ランナーのためのシューズで負けるわけにはいかない」(廣田社長COO)ことから、これまで以上に本社機能のリソースを投入し、若いランナーの取り込みを図る。さらに、ボストンにあるアシックスアメリカの管理体制を切り替え、アメリカとカナダ、メキシコに経営資源を集中させることで北米の業績改善を目指す。アシックスアメリカが管轄してきた中南米は本社管轄に切り替わる。

 中国市場については「この数年で売上高が10倍にはなったが、他社の伸びには及ばない」(廣田社長COO)とし、「オニツカタイガー」とランニングシューズを中心にさらなる拡大を目指す。地域のニーズに迅速に対応し、スピーディな意思決定を行うため、来年1月、上海に中国本部を開設。商品の企画開発、製造指示、マーケティングなど本社の一部の機能を今秋から移管し、体制を整える。20年度の中国市場の売上目標は550億円だが、「ゆくゆくは1000億円」という。

 本社と子会社に機能が分散していたため、対応が遅れていたデジタル事業については、ボストンに本社を置くアシックスデジタルに機能を集結させる。「総合的に対応するために一元化し、いずれはテーラーメードの製品開発にもデジタルデータを活用していく」。自社ECサイトの売上げを、現在の100億円から20年には320億円に引き上げたい考えだ。

 同社の2018年1〜6月期連結決算は、売上高が前期比5.4%減の1927億円、営業利益は同47.2%減の84億円で減収減益となった。売上高が計画比123億円下回ったものの、米国で復調の兆しが見えてきていることと、今年11月に発売する100ドル以下のイージーランニング向けシューズが好評なことから、通期業績は期初通りの計画を見込んでいる。

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