ファッション

ビームスも惚れたパリの人気カフェ「ペーパーボーイ」オーナーが語るサンドイッチで広げるコミュニティーの輪

 ビームス(BEAMS)は、パリの人気カフェ「ペーパーボーイ(PAPERBOY)」とコラボレーションしたアイテムをビームス 原宿と公式オンラインショップで販売している。アイテムは6月20〜29日にパリの「ペーパーボーイ」で両者が行ったポップアップストアで販売したTシャツ(4800円)、ロングスリーブTシャツ(5800円)、フーディー(9800円)、キャップ(4500円)、ソックス(2000円)、バンダナ(2000円)、バッグ(3500円)に、日本限定のマグカップやキーホルダーを加えた全9型で、ウエア類は発売後すぐに完売した。ショップのアイコンとなっている新聞配達の少年をイメージしたキャラクターにビームスの“B”を配したり、ショップ名をカタカナやカラフルにアレンジしたりと、ポップで愛らしいデザインが特徴だ。

 「ペーパーボーイ」はオーナーのジェームス・ドリディ(James Dridi)が中心となり、2014年にパリの11区に開いた店で、現在は看板メニューの色彩豊かな食材を使用したサンドイッチを求めて、パリのファッション関係者やミュージシャンなど、さまざまなカルチャーに携わる人たちが集う。サンドイッチは1日約100〜150個を販売し、ケータリングでは1回で500個のオーダーが入ることもあるという人気店だ。また「コンバース(CONVERSE)」や「ヴァンズ(VANS)」などのイベントでケータリングを担当するなど、ファッションブランドとも交流が深い。パリで開いたビームスとのポップアップストアでもビームスカラーのオレンジに染めた“エア フォース 1(AIR FORCE 1)”が「ナイキ(NIKE)」から関係者に贈られたといったエピソードもある。

 「ペーパーボーイ」はなぜサンドイッチ一つでカルチャーの輪を広げることができたのか。そしてビームスと協業するきっかけになった1足のシューズとは。コラボレーションの仕掛け人である「ペーパーボーイ」のジェームスと、ビームスの新井伸吾バイヤーに聞いた。

WWD:さまざまなキャリアを経て、カフェ「ペーパーボーイ」を立ち上げた理由は?

ジェームス・ドリディ(以下、ジェームス):パリで3年間クッキングスクールに通った後、ニューヨークに渡ってファッションに携わる仕事をしていた。モデル・エージェンシーに勤めたり、フォトグラファーのアシスタントをしたり、スタイリストも経験した。おかげでストリートに多くの知り合いができたんだ。その後ロンドンで2年間を過ごして、これまで自分が見てきたいろいろなものをミックスした場所を作りたくなって「ペーパーボーイ」を立ち上げたんだ。

WWD:その場所がなぜサンドイッチが中心のカフェだった?

ジェームス:「ペーパーボーイ」はレーベルのようなもので、パリのミュージシャン、スタイリスト、ペインターなどさまざまな職種の12人が属している。彼らが集い、新たな何かを生み出すためのハブがサンドイッチなんだ。フードを通じて人やモノをつなげたかった。サンドイッチにはカルチャーがあるし、ストリートフードとして誰でも気軽に食べられる。だからこそクオリティーにはこだわっていて、最高の素材で常に新しいメニューを提案することを大事にしている。フランスのチーズやモロッコのパン、日本のソースなど世界中から食材やインスピレーションを探して、サンドイッチ作りに生かしているんだ。

新井伸吾バイヤー(以下、新井):「ペーパーボーイ」はサンドイッチが美味しいのはもちろん、店にファッションやスポーツ、音楽関係者など、パリの街をリサーチしなくていいぐらいさまざまな人が来ている。ファッションウイークのような期間限定のファッションではなく、生のファッションがその一角に集まっている。彼らのTシャツやフーディーの着方、シューズの履き方などはどれも参考になる。

WWD:コレボレーションのきっかけは?

新井: パリの友人を介してジェームスに会い、すぐに仲良くなった。それから「ペーパーボーイ」に行き、少年のロゴを見て一瞬で心をつかまれた。「このロゴを嫌いな人なんていない!このロゴにビームスをのせたい!」と思って声をかけた。

ジェームス:今回のために普段は白ベースのロゴを黒ベースにして、キャップ部分にビームスの“B”をのせた。他にもカタカナの“ペーパーボーイ”ロゴを作って、日本が大好きという気持ちを表しているんだ。(新井)シンゴは「ペーパーボーイ」のロゴが好きだし、僕はビームスが大好き。シンゴとは本当に気が合うから、今回のコラボレーションはすごく楽しく、スムーズに形にすることができた。今後ももっとビームスとコラボレーションしたいと思っている。

WWD:ロゴの少年にはどのような意味が込められている?

ジェームス:新聞配達の少年をイメージしている。お小遣い稼ぎをしたいから一生懸命新聞を配っているという、ハッピーでエネルギーに満ちたスピリットが「ペーパーボーイ」を象徴しているんだ。でも店に来てくれた人から「店に新聞がないじゃん」と言われることはあるけれど(笑)。

WWD:今後「ペーパーボーイ」を世界中に広げていきたい?

ジェームス:年末から来年にかけてブランディングを強化していく予定だ。その一環で、パリに次ぐ2店舗目の「ペーパーボーイ」を日本に出店したい。でも店舗数を増やしたいわけではなくて、ファッションもカルチャーも大好きな日本に出店するからこそ意味がある。“ストリート”と“クオリティー”の2つを大切にし、ストリートウエアのショップ風だけど、中ではストリートフードを売っているというイメージを描いている。日本でもパリと同じように、サンドイッチをハブにしてコミュニティーを広げていきたい。

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