「ショップリスト」と幻冬舎がタッグ、雑誌とECの融合が新たなメディア像を作るのか

雑誌・書籍・媒体EC企業タッグインタビュー

2018/4/12 (THU) 09:00
片山裕美・幻冬舎 編集本部 第二編集局 局次長(左)と武井大知クルーズ カスタマーサービス本部 部長

 ファッションEC「ショップリスト(SHOPLIST)」を運営するクルーズ(CROOZ)が3月28日、幻冬舎と共同でスマートフォンに特化した通販直結型の無料ファッションマガジン「リスタ(LiSTA)」を創刊した。「ショップリスト」で扱う商品を用い、幻冬舎がコンテンツを制作する。融合が進むメディアとECだが、元「ジンジャー(GINGER)」編集長で編集プロデュースを担う片山裕美・幻冬舎 編集本部 第二編集局 局次長と武井大知クルーズ カスタマーサービス本部 部長に今後のメディアのあり方について聞いた。

WWD:創刊に至った経緯を教えてください。

片山裕美・幻冬舎 編集本部 第二編集局 局次長(以下、片山):私はもともと楽天と組んだEC直結のウェブマガジン「ジンジャー ミラー(GINGER mirror)」を創刊して、ECでモノが売れていくという経験を3〜4年積んできました。その反響がすごくて、ECとメディアの融合に可能性を感じていました。「ショップリスト」はうまくターゲットがセグメントされていて、20代女性に対して「服をもっと買いたい」という動機作りができるのではないかと思いました。ご縁がありクルーズとつながって、話はトントン拍子で進みました。創刊が決まったのは17年12月中旬ですね。

武井大知クルーズ カスタマーサービス本部 部長(以下、武井):これまでもメディアと広告的なお付き合いはあったんですが、なかなか継続的な取り組みができていなかったので、こちらもご一緒できることがすごくうれしいです。

WWD:どこにメリットを感じましたか。

武井:お互いの強みがまったく違うので、シナジーがあるかなと思いました。われわれにはシステムなどの機能面しかなくて、ファッション・トレンドを自社で発信していくことはなかなかできなかったので。

片山:「ショップリスト」は、持っているお客さんが素晴らしい。しかも、EC専門ブランドが多く、若い世代が買いやすい値段で、きちんとした質の商品を提供できているブランドも多いんです。また、武井さんの今後のビジョンが素晴らしくて、今のメディアの枠にとらわれずに、例えばインフルエンサーを取り込んだり、ニュース配信をしたりと、いろんな構想を描いてくれるんです。私としても“買って気分が上がる洋服の提案”という紙媒体でやってきたことと同じことをやっていきたく、そうなると編集者視点のある商品作りなんかもやっていきたいと思っています。

武井:新規商品の開拓も今後「ショップリスト」としてはやっていきたいですし、例えば「ショップリスト」に出店していないブランドも「リスタ」掲載をきっかけに取り扱いを始めるなど、いろんなチャレンジの集大成にしていきたいですね。ただ、今はブランドを作り上げる段階で、まずは通販と連結しているという強みを最大限に活用する時期だと思っています。

WWD:現在「リスタ」に関わるメンバーはどのくらいでしょうか。

片山:幻冬舎からは外部ライターを含めても3人です。営業から企画までマルチにやっています(笑)。

武井:クルーズ側では担当が2人とエンジニア2人ですね。

WWD:2社が連携して、しかも使用できるアイテムは「ショップリスト」にある商品だけということですが、編集作業は大変ではないですか?

片山:「ショップリスト」にある商品でコンテンツを作るというのは、実はそれほどハードルは高くなくて。逆に範囲を絞ってもらった方が自然と方向性が見えてくるので作りやすいんです。もちろん今後はこれに限らず、オリジナルアイテムの製作なんかもやっていきたいですけどね。2社でやることについては、とても面白いんです。今回は本当に勉強になったと思います。われわれがコンテンツを作った後にUI視点のチェックなんかがクルーズから戻ってきて意見を言い合うというようなことがあったりして。しかも加えた変更の手応えがすぐに数値で見えるのもウェブやECの特徴ですよね。大変ですが、創刊号だけでも相当の発見があったので、次号以降もすごく楽しくなっていくんじゃないかなと思います。

武井:お互い専門分野のプロ意識があるので、相手の領域には入らないんですよね。なので、話し合いにしても、決め込みはすごく早かったです。

片山:ネットでは時間をかけてじっくり作ればいいかといえば、そうでもなくて。武井さんが「1号目で全部できなくてもいい」ということを言っていて、たしかにと思いました。

READ MORE 1 / 1 “売るためのコンテンツ”作りは雑誌と何が違うのか

WWD:ECに直結する、“売るためのコンテンツ”作りというのは、これまでの雑誌作りと何か変化がありましたか。

片山:ずっと紙媒体をやってきましたが、その時から売ることを考えていました。紙媒体にしても洋服を買ってもらうことが最終地点にあったので、その点は変わりません。むしろ今回は扱う商品全てが売り物なので、逆に売るという意識は途中で消えましたね。いろんなブランドの商品をいかに素敵に見せるかに注力しました。扱う商品も躊躇なく買える値段設定なので、心が動いた時にスムーズに買えるボタンの配置とかが重要なんだと思います。

WWD:その点はむしろ「ショップリスト」の専門分野だと。

武井:そうですね。われわれはリピート率を高めるためのノウハウを持っているので、メディア価値を膨らませることが可能です。例えば記事のお気に入り機能など、システムはどんどん進化させたいと思います。

WWD:ウェブメディアにおけるコンテンツ作りにおける費用対効果についてはどう考えていますか。

武井:これまで広告としてコンテンツ掲載をしても一過性になる部分が多かったので、資産性やユーザーを巻き込む力を考えると回収率という観点からは圧倒的に効率がいいと思います。

WWD:継続してやるからこそ意味があるということですか?

片山:継続性はすごく大切です。現状は年4回発行ですが、いつか毎日ニュースが上がるようなサイトにしたいですね。

WWD:ECとメディアの相性についてどう考えますか。

片山:もちろんいいと思うし、ECとメディアが結びつくことで新しいメディアの形ができるように感じます。アパレルのEC化率が上がる中で、今後はシニア層も含めてEC自体がメディアとなり、商品を中心にライフスタイルを作っていくようになると思います。むしろ気になったら検索をするという今の時代、全てのECサイトがストーリー、哲学を表現していくべきだと考えます。「ショップリスト」って単なるECじゃなくて雑誌なんだというふうに思ってもらいたいんです。われわれにはストーリーを作り上げるスキルがあるので、ECと結びついてストーリーを作っていくことは自然だし、効率がいいですよね。

WWD:そうなると、ブランドまでもがライバルになってくるんじゃないんでしょうか。

片山:そうですね。でも、その分誰もがコンテンツに注力するので、ユーザーの心に届くかどうか、媒体のクオリティーが問われてきます。だから今回もコンテンツ作りを任せていただいたのは非常にうれしいですね。これが仮に雑誌が傾いてお金儲けのために仕方なく始めたECサイトということだったら非常に苦しくなるかもしれませんが、少人数で新しいことをやるというので、非常に面白いんです。

WWD:つまり、ECとメディアの融合は、“雑誌が生き残るための手段”というようなネガティブな流れではなく、メディアの新しい可能性という認識ですか?

片山:可能性が広がりすぎているくらいですよ(笑)。これがメディアだという決まった形がなくなるんじゃないでしょうか。例えば次号はライブ配信のみというようなこともありだし、インフルエンサーの集合体がメディアともいえるし、もしかしたら「1周回って紙が新しい」ってなるかもしれませんし。編集者は変なこだわりを持たずに、スキルをうまくアウトソーシングしていくべきだと思います。

WWD:編集者の仕事は変わらないと?

片山:根幹は変わっていなくて、きちんと物語を見つけてユーザーに伝えていくことなんです。そんな中で「リスタ」のような形に挑戦できるのは幸せだし、こうした形はこれからも増えていくんじゃないでしょうか。

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