「シセ」が4年ぶりのランウエイで東コレを選んだ理由

インタビュー

2018/3/17 (SAT) 13:00
松井征心「シセ」デザイナー PHOTO BY YUTA KONO

 「シセ(SISE)」は「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO以下、AFWT)」で4年ぶりにファッション・ウイークに復帰する。コスチュームデザイナーを志し、ファッションの世界に足を踏み入れた松井征心「シセ」デザイナーは、映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」に登場する主演5人の衣装デザインを手掛け、韓国大手ブランドのコーロンスポーツ(KOLON SPORT)とデザイナー契約を結ぶなど国内外で活躍している。一方で、「シセ」は2010-11年秋冬から東コレに参加してきたが、14-15年秋冬以来、ショー形式での発表は行っていなかった。東コレは、ロンドンやミラノ、パリ、ニューヨークの後に開催されるため、バイヤーの予算が少なくなったり、量産の期間がタイトだったりと、ビジネスの場としては賛否両論ある。そんな中、なぜ「シセ」は東コレへの復帰を決意したのか、本人に直撃した。

WWD:なぜこのタイミングで東コレに復帰をしたのか?

松井征心「シセ」デザイナー(以下、松井):最後のショーを行った14-15年秋冬から、大きなショーができるようになるまではやらないと決めていました。それからブランドとしても個人としても色々あり、18-19年秋冬シーズンがショーをやってもいい時期なのかなと。国外にも販路を広げたかったので、ソウルやパリ、ニューヨークと足を運んでリサーチしましたが最終的には「シセ」のコアなファンがずっといてくれる東京を選びました。

WWD:ショーによってビジネスを広げるイメージは?

松井:今回は特にファンの方に見せたいと思って参加を決めたので、ビジネスを広げるためという意識はなかったです。でも実際に準備を進めていると思わぬところからコンタクトがあり、ビジネスに繋がるかもという手応えはあります。

WWD:いずれは海外でも発表したい?

松井:タイミングがあれば行きたいです。マークスタイラーから独立した後、無理をして海外に出ようとしていた時もありましたが、痛い目をみました(笑)。それよりも国内を誠実にやる方が売り上げが伸びた。以前から国内の消化率は良かった。

WWD:痛い目とは?

松井:マークスタイラーから独立した後、2年間くらいは1人で仕事を抱えすぎて、とてもファッションなんてやってられる状況ではなく地獄を味わいました(笑)。その後、今のビジネスパートナーと出会って根本から叩き直されました。納期も安定して取引先の信用を取り戻し、全てがうまく進むようになりました。

WWD:今回のショーの着想源は?

松井:映画「Moonlight」と「Call Me By Your Name」からです。コレクションを作るタイミングでたまたま出会った作品でした。「Moonlight」のビジュアルのように3色を使ったり、“少年”“青年”“大人”の3つの顔をデフォルメしたグラフィックを使ったりしています。

WWD:ウィメンズは登場する?

松井:登場しません。“初志貫徹”の気持ちでメンズのみです。ゼロからのスタートではないですが、最初にやっていた頃の気持ちで作りました。ショーを意識して、型数は先シーズンよりも10型以上増やしました。

WWD:これまで映画館や廃墟などで発表してきたが、今回はどのような会場?

松井:とにかく“初志貫徹”だったので、最初は公式会場の渋谷ヒカリエで発表してもいいかなと思っていたんです。でも、贅沢に60mのランウエイが作れるビルの屋上を見つけたのでそっちにしちゃいました(笑)。演出家にテーマを話したら、「『Moonlight』だから、この時間にこの会場でどう?」と提案いただき、決めました。

WWD:以前ショーを行っていた頃に比べて変化した部分は?

松井:物理的な余裕は昔よりも減りましたが、精神的な余裕ができたことです。コレクションを作る際も、いっぱいいっぱいにならなくなりました。昔はコレクションが作れなくて感傷的になったり、必死に探してひねり出したりしていました。でもそういう時に作りだしたものはコケるんです。実際にコケたものもいくつかあります(笑)。

WWD:なぜ余裕が出てきた?

松井:仕事の人ともプライベートで会うようになり刺激が多くなったことや物事に対して構えなくなったことが大きいです。例えば、旅行1つにしても以前は計画して臨んでいましたが、今は友達の電話一本で海外に足を運ぶくらい構えなくなりました。

WWD:大手韓国スポーツブランドとデザイナー契約を結んでから変わった部分はある?

松井:「シセ」では見た目のデザイン重視で、自分が好きなシルエットや雰囲気を大切にしてきました。でもコーロンスポーツのデザインチームは機能面や着心地を重視し、主張してきます。お互いの国を超えたぶつかり合いを経験したことで、「シセ」でも機能面や着心地と、デザインのバランスがとれるようになりました。また、コーロンスポーツとのデザイナー契約で資金を得たことが、ランウエイショー再開を決める後押しになったし、コレクションでもカラー展開や強いアイテムも作れるようになりました。今回のショーで僕がデザインした「コーロンスポーツ セイシン(KOLON SPORT SEISIN)」のシューズも登場する予定です。

WWD:よく韓国に足を運んでいるが、ソウルと東京のファッションの違いは?

松井:ファッション・ウイークでは、ソウルは東京よりもわかりやすい華やかさがありました。会場にセレブが車で乗り付けて、パパラッチが群がって撮る。そんなわかりやすい華やかさこそがファッションには必要だと思います。

WWD:今後の展望は?

松井:20年にコレクションデビューしてから10周年を迎えます。そのタイミングで何かおもしろいことができればいいですね。

LINEでフォローして最新ニュースをチェック 友だち追加

フォーカスランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間
  1. 華やかな裏で月130時間のバイト生活 美容系インフルエンサーの実情

    連載 目指せ未来のインフルエンサーコラム
  2. 15周年「Y-3」の過去・現在・未来

    コラムアニバーサリーインタビュー PR
ブランド検索
シーズン検索
お問い合わせ各種

デジタルデイリーについての問い合わせは
下記よりお選びください。

false false true true true false false