ファッション

東日本大震災から丸7年 変わらず続くビューティ業界の復興支援

 2011年3月11日の東日本大震災から7年。歳月が経つにつれ復興支援の報道は少なくなっているが変わらずに支える企業や団体は多く、ビューティ業界でもさまざまな取り組みが行われている。

 震災直後は企業からの義援金や物資の提供、寄付金付き商品の販売などが行われてきた。しかし年を追うごとに就労支援や雇用創出などの生活サポートやイベント協賛などに変化している。

 震災直後から支援プロジェクトを立ち上げている「ザ・ボディショップ(THE BODY SHOP)」は、チャリティーポーチを限定販売している。同ブランドは世界各地でフェアトレード活動を行っていることもあり、復興支援も“援助ではなく取り引きを”という姿勢で被災地と向き合ってきた。

 16年からは被災3県で5つのNPO法人と手を組み、被災女性たちの手作り品を販売。収益の一部が被災者に還元される仕組みを作り上げた。18年は新製品「ジャパニーズチェリーブロッサム」シリーズで使用している桜のデザインを取り入れたミニポーチを限定販売。売り上げの一部が被災者の手元に入るだけではなく、高齢者をはじめとした女性たちが集まり、皆で手仕事を行って孤立を防ぐ、コミュニティー作りの役割も果たしているという。

 「ラッシュ(LUSH)」も16年から福島の復興支援団体と手を組み、風評被害などで米作りを諦めた農家が作る、福島県いわき市で栽培されたオーガニックコットンを使用した手ぬぐいアイテム2種を世界50カ国弱の店舗で発売している。また、18年からはコットンの茎を乾燥させて粉砕したコットンペーパーを作り、新ギフトアイテムの包装紙として使用。就労支援とコミュニティー創出にひと役買っている他、福島産の和綿が世界に広がることによる自信や誇りの回復にもつながっている。

 その他、本格的な就労支援を行っている「ランコム(LANCOME)」は、岩手県石巻市の女性を対象にした復興支援プログラム“アイズ フォー フューチャー”を13年から継続して行っている。パソコン、コミュニケーション、ビジネス講座などの実務を学べる講座の開講や、石巻の起業家によるメンタリングやさまざまな分野で活躍中の講師を迎えたセミナーやワークショップを実施。4年間で100人以上の女性が修了している。資生堂は陸前高田市の産業と観光の活性化に向けた復興支援活動の一環として、大船渡市を代表する花“三面椿”の香気成分を配合した「リラクシングナイトミスト」を14年から販売している。

 働くことは他の誰かとつながることになり、コミュニティーができたり、やりがいを得たりする。女性の働く場を作り上げ、共に喜びを分かち合う機会を持つ取り組みが多いことは、女性が多く働くビューティ業界だからこそと言えるのかもしれない。

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