1. 干場義雅が考える“ファッションの次代” 知識を積み重ねモノの本質を見極める

干場義雅が考える“ファッションの次代” 知識を積み重ねモノの本質を見極める

干場義雅:1973年生まれ、東京都出身。メンズファッション誌の編集者を経て、「レオン」の創刊に参画。その後「オーシャンズ」を創刊し、副編集長兼クリエイティブディレクターとして活躍する。2010年、フリーのファッションディレクターとして独立し、14年に40代男性に向けたデジタルマガジン「フォルツァ スタイル」をローンチ。現在は、雑誌の他にもテレビやラジオ、イベントなど、メディアの枠を越えて活躍している。

 リード エグジビション ジャパンは、日本最大のファッションの展示会「ファッションワールド東京 2018 春」を4月4~6日の3日間、ビッグサイトで開催する。同展は7つの専門展で構成され、世界34カ国から計830社の有力ブランドが約7万2000点の新作を出展する。また、注目したいのが、全38講演で構成される“ファッション業界活性化&若手応援のためのセミナー”。毎年多くのブラントが誕生することで複雑さを増すファッション業界。展示会は、それらをセグメントし、分かりやすくまとめることで、バイヤーの買い付けの指針を生み出す。
 今回は、世界各地を飛び回り、いくつものコレクションや展示会を見続けてきた、ウェブマガジン「フォルツァ スタイル(FORZA STYLE)」(講談社)の編集長であり、今回の「ファッションワールド東京 2018 春」において特別講演の講師を務める、ファッションディレクターの干場義雅にメンズのトレンドから次代に求められるファッションのあり方を聞いた。

WWD:今シーズンのメンズのトレンドについて教えてください。

干場:僕自身、メンズウエアに関してトレンドよりもクラシックなアイテムに触れる機会が多いため、原点回帰という考え方が基本にあります。現在のファッション業界において、システムやブランドのあり方まで、あらゆることがものすごいスピードで変化していることが理由なのかもしれません。

WWD:メンズウエアでは、伝統と革新的な側面の微妙な変化がトレンドを生み出しているとも考えられますが。

干場:素材は進化していますよね。当然、時代のニーズに応じて着心地が良いアイテムは求められるでしょうし、最近のストレッチやウオッシャブルといった機能素材の進化には驚いています。一方でメンズのスタイルは普遍的であることが重要です。これが次の時代を見るきっかけになると思います。展示会や海外出張の際には、当然自分なりのファッションをするわけですが、現場で得られる情報や来場者のスタイルを見て答え合わせをしているような感覚で回っています。やっぱり正しかったとか、ここは違うとか。その中で最近は、特にモノの本質を追求するような潮流になっている印象を受けます。

 


 

WWD:具体的にモノの本質とは?

干場:メンズウエアには歴史に裏打ちされたスタイルがあります。その歴史をひも解けばスーツはサヴィルロウ、シャツはジャーミン・ストリートといった英国のスタイルにたどり着きます。黒い靴は街で、茶色い靴はカントリーサイドで履くというオーソドックスなルーツもあります。しかし、今のファッションはライフスタイルが求められますよね?洋服そのものではなく、オーガニックやヘルシーな生活志向がフォーカスされがちです。その意味でかつての消費者が抱いていたファッションへの夢や力は弱くなっているのではないでしょうか。急速なスピードでトレンドが移り変わり、街がリアルクローズで溢れていることも追い風なのだと思いますが。

WWD:時代の流れをつかむ指針として、展示会はブランドの背景や考え方を製品を通してプレゼンテーションする場。どんな部分に注目して展示会を回りますか?

干場:その時代を反映しているかどうかです。今に置き換えるとトレンドだけを追及した小手先の変化は求められていないと思います。それよりも、モノ作りに対する真摯な取り組みなど、手段だけではなくブランドのフィロソフィーが感じられるかどうかに着目しています。

WWD:ファッションに対する考え方を展示会や海外出張で答え合わせするということでしたが、展示会で得た情報がきっかけや指針になりますか?

干場:展示会で情報を得る前に知識を身につけることが前提です。知識がなければ軸がぶれてしまい、結果として多くの情報に流されてしまう。メディアもバイヤーもそれぞれ軸を決めることが先決です。例えば、干場家の食事は長生きすることが目的で、塩分控えめ、1日30品目以上カバーしているといった、健康を配慮したものだとします。それが指針になるわけですが、流行っているからとか、おいしそうだからという理由だけの献立では、栄養のバランスが崩れて、長生きをするという軸からぶれてしまいますよね。考え方はフレキシブルでありながらも軸はぶらさないことが重要です。

 


 

WWD:日本最大の出展数を誇る「ファッションワールド東京」のメリットは何だと思いますか?

干場:いっぱいあります。いろいろなスタイルを見ることができるし、新しいアイテムとの出合いもある。私は編集者としてですが、バイヤーにとっても多くのブランドが点在している現状をまとめて見られることは、バイイングの指針を定めやすいという利点になります。また、展示会全体のムードは気にします。ブランドの大小に関係なく、そのムードを感じさせるブランドが確実にありますから。そういったブランドが発見できることも魅力でしょうね。

WWD:具体的に編集者としてはどんなメリットがありますか?

干場:一過性のトレンドではなく、将来を見据えた上でどんなスタイルを提案するか、その情報がバイヤーの指針になりうるかどうかです。トレンドに右往左往してしまうようではダメ。昔と比べ消費者のファッション偏差値は高くなっているので、トレンドに流されなくなっています。それよりも本質を見極めること、一方で時代の流れを的確につかむことが重要ですよね。どんなスタイルが次世代を担うかを徹底的に考えることです。

WWD:次世代は何を求めるようになると考えますか?

干場:昔はモノがフォーカスされ、今はライフスタイルがファッションを代弁する存在になりました。次の世代にはさらに本質的なことを求めるようになるでしょうね。これまでの歴史を踏まえた、答え合わせの時代になるでしょう。ファッションを取り巻く環境の変化を経て、どんなスタイルが本当にかっこいいのかを追求する時代。そのキーワードは本質を見抜くための“知識”ではないでしょうか。

 


ファッションワールド東京 2018 春
日程:4月4〜6日
時間:10:00〜17:00
場所:東京ビッグサイト
住所:東京都江東区有明3丁目11-1
入場料:招待券持参者は無料(招待券がない場合は5000円)
 

 

問い合わせ先
リード エグジビション ジャパン
03-6362-6785

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