入社前にヤル気を引き出す ジンズの新卒獲得法

キャリアインタビュー連載 就活相談室

2018/1/7 (SUN) 03:00
PROFILE:1987年10月29日生まれ。千葉経済大学経済学部経営学科卒。2010年4月、ジンズに新卒入社。11年に店長昇進、スーパーバイザーを経て、15年に人事戦略室新卒採用担当に。17年に同室採用グループマネジャーに就任し、採用全体の責任者となる PHOTO BY YUKIE MIYAZAKI

 アイウエアSPA企業として中国や米国も含めて世界に430店舗(2017年8月末現在)を運営するのがジンズ(JINS)だ。17年8月期の売上高は前年比9.2%増の504億円で純利益は同39.7%の27億円と増収増益。パソコンなどのブルーライトカットメガネで“目が悪くない人にもメガネを”を実現した他、12月には本社オフィスに“世界一集中できる環境の研究”の一環でワークスペース「シンク・ラボ」をオープンするなど、ユニークなチャレンジを続けている。そんなジンズの新卒採用について飯塚翼・人事戦略室採用グループマネジャー(以下、飯塚)に聞いた。

WWD:サイトを見ると、年間を通してエントリーを受け付けているようですが、18年4月入社の採用は終了していますか?

飯塚:終了しています。メインの採用活動は3〜9月です。ただ、前年の12月から大学3年生に向けてインターンシップの募集も行い、参加した学生で採用したい人には継続的に会う機会を設けて、早い方には2月に内定を出すこともあります。

WWD:18年4月には何人くらい入社する予定ですか?

飯塚:現在(12月末)、内定者は280人ほどですが、いろいろな理由で辞退する人が出てくるので、実際の入社は265人を見込んでいます。もともと内定は500以上出しています。

WWD:そもそもの目標値は?

飯塚:220人です。1万2000くらいのエントリーがあり、実際説明会には4000〜5000人が参加しました。採用チームが5人なので、正直いっぱいいっぱいな状況です。ただ、単に言われた人数を用意するだけでは面白くないと思うので、入社のタイミングまでに、より会社を好きな状態や、この会社に勤めようと思った理由を語れるような状態を目指して、サポートを行っています。

WWD:それは内定者に対してですか?

飯塚:そうです。先輩との座談会などを行って、働く理由やどこにやり甲斐を見出すのかなどをブレイクダウンしていって、モチベーションの高い状態で入社してもらえることを目指しています。

WWD:17年4月入社は何人でしたか?

飯塚:227人でした。16年は257人。それ以前は100人前後でした。

WWD:19年4月は何人が目標ですか?

飯塚:まだ確定しておらず、250人くらいを想定していますが、僕の頭の中では300人以上採れるように準備をしておこうと考えています。

WWD:欲しい人物像というのを具体的に教えてください。

飯塚:まず一番大事なのが、うちの会社にコミットしていること。会社がやっていることに対して共感しているだとか、 “マグニファイライフ”、人の人生を豊かにしようという会社が掲げている考え方が素敵だと思ってくれるっていうところが一番です。また、自己変革できることも重要です。会社自体も新しいことにどんどんチャレンジしており、僕の言葉でいうと自己変革を繰り返している会社なので、それについてきて成長してくれるような、変革意欲のある人に来てほしいです。あともう1つだけ付け加えると、成長が周囲に伝播するような、周りをうまく巻き込みながら一緒に頑張っていこうよと言えるような人材を念頭に置いています。

WWD:当てはまる人材は獲得できていますか?

飯塚:250人という規模なので、全員が当てはまるかというと難しいですが、“何か持っているものがある”と思える人には内定を出しています。磨けば力を発揮する人だろうという人も採用しています。

WWD:具体的にはどういうところを見ますか?

飯塚:過去の体験をベースに聞きます。大学生だと、サークル活動などで頑張った経験を語る人が多いですが、例えば「辛かった時、どんな自分の強みが発揮されたと思いますか」と、もう一段階奥の話を聞くと、たいていポカーンとしますね。

WWD:ポカーンとしますか。

飯塚:そうですね。何が生かされてそういう成果に繋がったのか、それに気付けている人で、その人が発するものの奥に先ほど挙げた会社が求める要素があるかどうか、いろいろと話して確認していきます。

WWD:1次面接は何人で行いますか?

飯塚:1対5の集団面接で、人事部が行います。2次は1対1で、全国各地のスーパーバイザーか人事が行います。面接は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡を中心に全国で実施します。最終選考は本社でブロックマネジャーと1対2の面接です。

WWD:筆記試験はないのですか?

飯塚:適性検査はしています。自社で何年も使っているものがあり、そこに3年後に店長になったという人の志向性など、過去のデータを全部入れているんです。そうしたデータを継ぎ足して、社内で活躍できる人は主体性や成長意欲が高いなどといった特性を割り出し、それにどれだけ近いかを適性検査で見ています。

WWD:すごいですね、ちゃんと自社用にカスタマイズして、それが蓄積されているのは。年々精度が高まりますね。

飯塚:それで合否は決めませんが、面接で感触がいいなと思って適性検査を見ると、やはりA判定が出ていたりすることがあり、データとして確認ができたりします。半分くらいは、そういった過去の採用実績で活躍できている人たちと近しい要素を強く持っている人を採用できているので、先ほどの「欲しい人物像に当てはまる人材」は、まぁ一定数確保できているのではないかなと思っています。

WWD:面接は私服指定ですよね。これも重要度は高いですか?

飯塚:いえ、「いつも通りの自分を出してね」という意味合いだけなので、選考の基準にはしていません。他に面接があるのでしたら、スーツで来てもいいですし、ファッションチェックをしようなんていう意図は全然ないです。

WWD:メガネは基本的に全員着用?

飯塚:店頭ではそうです。オフィス内は特に決まっていません。社外に出るときは掛けることが多いですが。そもそも社長の田中(仁)は目がいいですし。ただ、社員だと安く買えるので、つい買ってしまいますね(笑)。ちなみに私のメガネはダテです。

WWD:初年度は全員店頭ですか?

飯塚:はい。まずは、現場で自社の製品をお客さまに届けることをたくさん経験しながら、副店長、店長を目指してもらいます。

WWD: 1年目はどういうことをしますか。

飯塚:ホールの接客から受付業務、視力測定ですね。あとはメガネの加工です。お店でレンズを削って仕上げているので。それからお会計、商品のお渡し。人によって耳の高さですとか、目の位置とか微妙に顔の形が違うので、メガネの方を一人一人のお客様の顔に合わせて、その人の一本に仕上げてお渡しするということを繰り返します。

WWD:結構あっという間にできるようになる感じですか?

飯塚:いいえ、難しいです。全ポジションをできるようになるには早い人でも半年ぐらいはかかります。細かい検定を受けて、副店長、店長試験があります。早い人でも副店長には入社後1年半、店長には2年くらいはかかります。店長試験は、「自分の店をこうしていきたい」というようなビジョンの提案や、それなりの技量があるかを問われるので合格までに3カ月はかかりますし、1回でパスする人はまずいません。

READ MORE 1 / 1 全員店長になれる?

WWD:他の部署に異動したいと思ったら、まず店長になってから、という感じでしたよね?全員が店長になっていくイメージですか?

飯塚:いいえ、やはり試験が厳しかったり、ビジョンを語るのが苦手な人はなかなか通りにくかったりするので、全員ではないです。そういう人には接客のプロ、スターバックスでいう“ブラックエプロン”的な、店頭で職人的な資格を目指すという道もあります。

WWD:本社勤務がしたい場合はどのようにエントリーしますか?

飯塚:半年に1度キャリアチャレンジ制度というものがあり、店長の資格を持っている人以上になれば、希望の部署から募集があればエントリーでき、試験を経て異動が決まります。デザイナーや「シンク・ラボ」のプロジェクトなどにも携わっていますし、台湾で現地法人の代表をしている者も店舗出身です。今本社には180人ほどおり、だいたい4割弱程度が店舗出身という感じです。キャリアチャレンジ制度は運用からまだ数年なので、今後はより現場の人が本社で活躍する機会が増えてくると思います。

WWD:入社5年目くらいになると店長よりちょっと上のクラスになっているようなイメージですか?

飯塚:そうですね。だいたい6年目くらいから大型店舗やコンセプトの違う主要な店舗など、店長の中でも責任が重いところを任されたりします。また、キャリアチャレンジ制度を経て、各地で活躍したり、人によってはスーパーバイザーという、店長よりも上の役職になったり。5年目くらいを区切りに一気に幅が広がってくるイメージです。

WWD:四大卒で初任給23万5000円ですが、毎年確実にベースアップしますか?

飯塚:昇給は年2回ありますが、必ずしも上がるとは限りません。その人の頑張りに応じて、金額に差があります。加えて賞与があります。この他に、年に1回優秀店舗として表彰されると報奨金が出ますし、ブロックごとに毎月店舗を表彰する制度もあるので、成果に対して報いる機会が多い会社だと思います。

WWD:福利厚生の面で何か特筆すべきことはありますか?

飯塚:メガネが安く買えます。30〜50%オフで。あとは、シャツ2枚とジャケットの制服支給があります。それから、本社にある「シンク・ラボ」が自由に使えるというのもポイントが高いかと。

WWD:「シンク・ラボ」を見学して、あまりの凝りように驚きました。集中しますか?

飯塚:めちゃくちゃ集中しますよ。会議などをした後に、一人で集中して考えたい時などに最適です。

WWD:会社として、かなり面白いところに目を向けますよね。

飯塚:どんどん新しいことをやっていく会社だなと、私も内部にいて思います。 “ジンズPC”も「目がいい人に届ける」と聞いて、最初「何を言っているんだろう」と思いましたが、テレビCMを打ったら大ヒットで、土日はお客様がお店に入りきらなかったんですよ。私も8時間レジを打ちっ放しで死ぬかと思ったんですが(笑)。そうやって流れが変わった瞬間を見られたり、新しいことをやっていく面白みがあるなと、すごく感じました。チャンスはたくさんあると思います。

WWD:新卒入社3年目の定着率はどのくらいですか?

飯塚:3割ちょっと切るくらいですね。ただ、今2年目の16年4月入社は退職者が250人中23人で、最初の半年間はゼロでした。入社前からモチベーションを高める働きかけをするなど、会社にコミットしてくれる人が増えているんじゃないかなと思います。

WWD:新卒採用について課題はありますか?

飯塚:採用市場全体が年々縮小してきている中、どこで担保するかというと新卒採用が一番可能性としては高いのかなと考えています。既存のやり方に捉われず、もっと新しいやり方を考えなくてはと思います。

WWD:何か新しいことに挑戦していますか?

飯塚:会社自体が新しいことをやっているので、それを広報していくだけでも学生のハートをつかむことはできると。あとは、大学生が95%なので、短大生や高校生の採用をもっと増やすことも考えています。欲しい人材にこちらからアプローチするようなことはこちらの人数の都合上難しいですが、大学に授業をしに行ったりはしています。

WWD:面白いですね。何を教えるんですか?

飯塚:ジンズの経営戦略についてや、マーケティングの授業を取っている人たちに対して企業事例などを話します。そういうところから少しずつチャネルを増やしているところです。

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