代官山 蔦屋書店映像担当が推薦 「スター・ウォーズ」とともにSF映画史を支える隠れた名作

連載 木曜日の代官山 蔦屋書店映画

2017/8/10 (THU) 10:00
「未知との遭遇」 (c) 1977, renewed 2005, (c) 1980, 1998 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

 本連載では、代官山 蔦屋書店コンシェルジュがオススメする書籍や雑誌、映画、音楽、雑貨などを幅広く紹介する。今回は、映像担当の吉川明利コンシェルジュに映画についてじっくり語ってもらった。今年が米国公開40周年にあたるSF映画「未知との遭遇」の魅力に迫る。見どころをバッチリ押さえて、不朽の名作を味わいたい。

 「未知との遭遇」は1978年、「スター・ウォーズ」と同年に日本で公開された。来年、日本公開40周年を迎える。「『スター・ウォーズ』の日本公開が丸1年遅れたため、アメリカとは反対に『未知との遭遇』が先に公開されました。ちょうど20歳の時で、まだかまだかと『スター・ウォーズ』を待ちわびていたところ、思わぬ作品の公開に大喜びしたのを覚えています」。

 これら2作の監督であるスティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)とジョージ・ルーカス(George Walton Lucas, Jr)は、共にハリウッドの歴史を変えた人物だが、その資質は異なる。「『スター・ウォーズ』は宇宙空間、『未知との遭遇』は地球、と全く違う舞台の話だったのが面白かった。『未知との遭遇』の原題は『Close Encounters of the Third Kind』、ハイネック博士(J. Allen Hynek)の分類でいうところの『第3種接近遭遇』を指します。50年代からの定説であった宇宙人の侵略ではなく、宇宙人と対面してコンタクトを試みる第3種接近遭遇の新たな可能性を見事に世に問うた作品です。同作があったからこそ、後々『E.T.』が生まれたのだと思います。侵略なのか、それとも友好なのかというのは、SF映画につきものですね」。

READ MORE 1 / 2 日本のSF映画への影響は?

 「未知との遭遇」の影響は、現代のSF映画作品にも強く感じられるという。「今年、接近遭遇を描いた映画『メッセージ』と『ライフ』の2本が封切られたましたが、『未知との遭遇』の影響が見て取れます。突然、UFOが現れ、研究者がその中に入り込んで異星人と出会う。けれども、目的が分からないので地球がパニックに陥る。そうした異星人との接近遭遇のおおもとを辿ると『未知との遭遇』に行き当たります」。

 その影響は、日本のSF映画にも及んでいる。9月9日に公開を控える、黒沢清監督の「散歩する侵略者」もその1つだ。松田龍平扮する体を乗っ取られた男が、地球を侵略しようとする物語。「日本のSF映画は予算が大きくないので、宇宙空間などのデカい特撮をやりません。その中で、日本のSF映画はこういうものですよ、ということを示す良い映画です。78年の名作2本の同時公開があったからこそ、日本でもSF映画を作るようになったのだと思います。これがなければ、荒唐無稽なものを作ってどうなるのだと、SF映画が日本に根付くことはなかったのではないでしょうか」。

READ MORE 2 / 2 あのフランス人映画監督の出演シーンがチェックポイント

「未知との遭遇」でフランス人博士を演じるフランソワ・トリュフォー (c) 1977, renewed 2005, (c) 1980, 1998 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

 UFOが地上に降りてくる場面や、その舞台である山岳地帯のデビルスタワーなどハリウッドらしいスケールの大きな設定が目立つ作品だが、見どころは他にあるという。「スピルバーグ監督の懇願が実って、映画監督として著名なフランソワ・トリュフォー(Francois Truffaut)が、UFOとコンタクトを図るフランス人博士を演じています。スピルバーグ監督がいかに彼を尊敬していたかが分かります。もう1つは、トリュフォーの監督作品で、狼に育てられ人間とコンタクトを取れない少年を描いた『野生の少年』との共通点です。この作品でトリュフォーは、なんとか少年を人間の世界に受け入れようとする博士を演じています。『未知との遭遇』と同じ境遇なんですね!だからこの博士役ね、と誰もがトリュフォーをキャスティングしたことに納得しました。実際にはありえない話かもしれませんが、一生懸命UFOにコンタクトしようとする登場人物たちの人間像を観てもらいたいです」。

 次回の8月24日も引き続き、吉川コンシェルジュが太鼓判を押す名作映画を紹介。こちらも日米公開45周年、泣く子も黙る名作中の名作「ゴッドファーザー」を取り上げる。数々の映画を観てきた吉川コンシェルジュならではの「ゴッドファーザー」の楽しみ方とはいかに?

今回のコンシェルジュ:吉川明利
1957年10月21日生まれ。小学校6年生で映画「若大将」に出合い、邦画に目覚め、中学3年生で「ゴッドファーザー」に衝撃を受け、それからというもの“永遠の映画オヤジ”になるべく、映画館で見ることを基本として本数を重ね、まもなく47年間で1万本の大台を目指せるところまで何とか辿り着く。2012年より代官山 蔦屋書店映像フロアに勤務。

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