ファッション

銀座メゾンエルメスでエマニュエル・ソーニエ展がスタート

 銀座メゾンエルメス フォーラムは7月14日~10月31日、エマニュエル・ソーニエ(Emmanuel Saulnier)展「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」を開催する。本展は、2月にパリの「パレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)」で開催されたソーニエの個展「Black Dancing」を発展させ、ジャズ・ピアニストのセロニアス・モンク(Thelonious Sphere Monk)へのオマージュを形にした。

 インスピレーションになったのは1963年に来日公演を行ったモンクの演奏だ。展示方法は、楽曲のように3つのパート(tempo I/ II/III)で組み立て、作品と展示方法もジャズのように“即興性”を持たせている。

 テンポ1では、ガラス状の梁8本と、木材彫刻で構成。それぞれが音符のようにも見え、見る人の想像を掻き立てる作品だ。13日に行われたアーティストトークでソーニエは「一つ一つの“かけら”は独立した彫刻作品で、それぞれが皆さんや私のようにかけがえのない存在。見る人それぞれが、“かけら”を結び付け、即興で生きる人生を生きているように、『戦う』『愛する』『いがみ合う』『ダンスする』ことなど自由に発想し、“かけら”の存在を生かして欲しい」とコメント。

 テンポ2は、ソーニエの個人コレクションで構成。さまざまな文脈において、作家活動や哲学を分かち合う親交の深いアーティストたちの作品を紹介し、さまざまなネットワークを通じて活動を広げる現代作家のあり方に迫る。コレクションは作家の小川洋子との対談からヘンリー・ムーア(Henry Moore)の作品まで幅広く、彼の頭の中を旅する感覚を味わえる。

 テンポ3では、3つの彫刻を展示。1つ目はそれぞれ130Lの水で満たしたガラス管9本をつなげた作品で、ピアノの鍵盤のようにも見える。展示室中央には2枚のステンレスプレートを梁でつなげ、「影、リズム、光、存在」を表現したものを配置。展示室奥にはダンスを表現したという、ガラスのエレメントを囲むように釣り用のかごをつなげた作品を配した。「水から飛び跳ねる魚のようでもあり、釣り糸で釣り上げられている魚のようでもある」とソーニエ。

 ソーニエの彫刻作品は、作家にとって身近で歴史的な出来事や惨事を参照しており、人間の実存について、根源的な問いを投げかけている。ガラスに水や黒いインクを満たしたオブジェは、人間そのものの姿を表現し、薄い皮膜に覆われた / 閉じ込められた人間の身体の重量と、透明になったその存在の脆さや儚さを暗示しているかのようでもある。

 エマニュエル・ソーニエは1952年パリ生まれ。70年代後半から作家活動を開始し、86年のローマのヴィラ・メディチでの滞在を経て、主にガラスを用いた作品で知られるようになった。彫刻家としてのアカデミックな美術表現にとどまらず、社会と積極的に接点をもち、人との対話を通じて歴史を問い直すことに重きを置き、制作と並行して、パリ国立高等美術学校にて研究者・教育者の役割を担っている。現在、パリとトルコを拠点とし、エルメス財団との親交も深い。2002年にはブリュッセルにある財団のギャラリー「La Verriere」で個展を開いた。また、若いアーティスト向けのレジデンス・プログラムで、10年から14年までメンターを務めた。

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