バイクレースで気づいた「周りを見る」という価値

コラム

2017/5/22 (MON) 13:00

 皆さんがゴールデンウィークのお休みを楽しんでいた時、もしくは、そんなホリデーのショッピングを提供すべく仕事をされていた時、僕はニューヨークに飛んでおりました。「マンハッタンポーテージ(MANHATTAN PORTAGE)」が協賛するバイクレース「ファイブ ボロー バイク ツアー」に参加するためです。「ファイブ ボロー」とは、日本語に直せば「5つのエリア」の意味。皆さん、「5つのエリア」って、わかりますか?マンハッタンとブロンクス、クイーンズ、ブルックリン、そしてスタテン島の5つです。最後のスタテン島が分かったアナタ、なかなかのニューヨーク通とみました(笑)。

 このバイクツアーはその名の通り、自転車に乗って全長約64キロのコースを走り、ニューヨークを余すところなく楽しんじゃおうというファン・ライドです。楽しむためのバイクレースですから、タイムを競うものではありません。とはいえ、ある人はガチでNYを爆走し、またある人は友人や家族、子供との会話や時間を楽しみながら、64キロをゆっくり走る。そんなイベントです。僕は、ガチの爆走と会話をしながらの中間、“先頭集団の最後尾”に食らいつくイメージで64キロを走りました。途中2回くらい休憩を挟みましたが、走破に要した時間は2時間半くらい。時には立ち漕ぎもしちゃうけれど、周りを見る余裕はあったし、ゴールした時も「もう1回、64キロ走れるかも」と思ったくらいのペースです。

 そんなペースのバイクレースで気づいたのは、NYのパノラマのダイナミズムでした。レースは、マンハッタンのトライベッカからスタート。ビル群の間を駆け抜けながら、セントラルパークに向かいます。公園にたどり着けば、日曜朝ゆえ市民ランナーがたくさんいて、彼らを脇から追い抜いていくと、今度はハーレム、そしてブロンクスに迫ります。その後は橋を渡って川を越え、NYが“人種のるつぼ”と呼ばれるゆえんのクイーンズへ。おしゃれエリアが続々誕生するブルックリン、川越しに摩天楼を望む高速道路、そして、緑あふれるスタテン島……。眼前の風景は、駆け抜けたエリアの数だけ変わり、2時間は本当にあっという間でした。NYには4年弱住んでいましたが、バイクツアーは、地下鉄に乗っている限り決して発見できない、新たな魅力を教えてくれました。

READ MORE 1 / 1 「周りを見なくちゃ」好奇心は膨らまない

 という素敵な思い出を胸に帰国して通常業務に戻ると、共感する1本の記事に出会いました。同僚が書いた「ネット普及で運営難の“雑誌の図書館” 存続をかけたクラウドファンディングに出資殺到」という記事です。

 特に共感したのは、記事中の「無限の情報が詰まったインターネットでは、求める情報までピンポイントでたどり着くことができる反面、周辺情報への関心が薄れてしまう。雑誌をめくることで興味がある記事とは別のページが目に入ってきたり、興味から好奇心が膨らんでくるもの」という一節です。これって、まさに地下鉄に乗っている限り気づくことのできなかった、バイクツアーに参加したからこそ知ることができたNYの景色みたいなものだなぁ、そんな風に思いました。

 特に若い世代は、ネットは何でも知ることができる便利ツールだと思っていますが、それは正直間違いです。ネットは、「すでに興味のある世界、もしくはその周辺の世界」を知るには便利ですが、「想像さえしなかった世界」を知るのは極めて難しいツールです。だって「想像さえしなかった世界」は、検索さえできないし、お気に入りにも登録していないし、そんな世界の住人は身の回りにいないからSNSにも出てこないんです。「想像さえしなかった世界」に出合えるのは、今なお情報を取捨選択し、編集し、発信してくれるテレビであり、ラジオであり、雑誌であり、書籍であり、新聞。僕はそう思っています。

 ということで皆さん、季節もいいカンジになってきたので、新聞や雑誌、書籍をメッセンジャーバッグに突っ込んで、自転車に乗ってお出かけしてみてはいかがでしょうか?スマホを電車の中でスクロールしている限り、決して出合うことのできない世界が待っているハズです。

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