ファッション

スタートトゥデイ幹部が語るアラタナ買収の狙い

 ファッションECサイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するスタートトゥデイは、ECサイト構築などを手掛けるアラタナ<宮崎県、濵渦(はまうず)伸次・社長>を買収し、完全子会社化する。多様化するニーズに対応可能な自社EC支援事業へ強化が目的。

 アラタナは2007年に濱渦社長が同級生と2人で宮崎市に設立。「宮崎に1000人の雇用をつくる」というビジョンの下、宮崎を拠点にECサイト構築、WEBマーケティング、WEBセキュリティなどを手掛けている。現在の資本金は2億8200万円。14年4月期の単体売上高は、5億7800万円、営業損益は2500万円の赤字、当期純損益は500万円の赤字となっているが、エンジニアを中心に100人以上の社員を擁し、国内800以上のECサイト構築などを手掛けてきた技術力やノウハウなどを高く評価したもの。13年10月にはファッションウェブマガジン「ハニカム(honeyee.com)」を傘下に収めている。今回のスキームとしては、簡易株式交換によるもので、スタートトゥデイの株式1株に対して、アラタナの株式が普通株式で117.3、B種類株式で240.2、C種類株式で230.0の交換比率としている。3月25日開催の双方の取締役会で決定し、同日に契約を締結。5月28日に株式交換を実施する。

澤田宏太郎スタートトゥデイ取締役は、「アラタナの技術力や開発人員の多さなどに魅力を感じた。特にEC支援分野に特化して長くビジネスをし、800サイトを立ち上げてきた経験値があり、われわれ以上のノウハウがあると感じている」と説明する。スタートトゥデイは7年近く自社EC支援事業を手掛けてきた。立ち上げ当初は、「ゾゾタウン」という成功事例をもとに、「ゾゾタウン」の物流やシステムなどのインフラが使えることを価値として、数十のサイトを立ち上げてきた。「しかし、ここ1〜2年、EC立ち上げは当たり前の領域になっており、価格競争が始まっている。また、『ゾゾタウン』のインフラの枠にはまらないニーズも出てきた。そこで一度、自社EC支援事業をリセットしたかった。アラタナの加入により、パッケージ型で低価格の『ストアーズプロ』と、顧客ニーズにきめ細かく対応できるアラタナタイプとの2枚看板ができる」と澤田取締役。「当社で構築してきた『EC運営ノウハウ』およびアラタナが持つ『ECに特化したテクノロジーとサポート力によるECソリューション』の相互連携を行うことで、自社EC支援事業のさらなる拡大成長を実現できる」と意気込む。「ハニカム」との連動については、「いろいろな可能性はあるが、現在では決定していることはない」という。

また、千葉・幕張を拠点するスタートトゥデイと、宮崎を拠点にしたアラタナとは、「地元愛や地域貢献を目指す姿勢などにも類似性がある」としている。さらに、「濱渦社長がアパレル好きで、地元で洋服屋を経営したり、無農薬野菜をスムージーとして通信販売するなど、ITプラス・ライフスタイルという側面を持ち、企業文化的にもフィットすると感じた」と話す。

アラタナの濵渦伸次・社長は1983年宮崎県生まれ。04年に都城工業高等専門学校 電気工学科を卒業後、リコーに入社。翌05年に宮崎に戻り、カフェ・バーを開業するが半年で倒産。07年までアルバイトやウェブ制作、カメラマンなどを並行して行い、借金を完済。同年、学生時代の同級生である穗滿一成・専務CTOとアラタナを設立し、現在に至る。

なお、スタートトゥデイのM&A(買収・合併)は、古着のeコマース事業を手掛けるクラウンジュエル、「ストアーズ・ドット・ジェーピー(STORES.jp)」などを手掛けるブラケット、電子雑誌書店「マガストア」を運用・開発するヤッパに続く4案件目。

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